怪演女優 Thirty Eight (ページ22)

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メランコリーページ22

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J side

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最近、Aちゃんの笑顔が減ったような気がする。

インスタグラムのフォロワーも1000万人を超えて、世界の有名な人からも認知され始めているAちゃんの笑顔が前よりも明らかに少なくなった。

それでも俺の前では無理に笑ってくれているけれど、俺の前で気を抜いてくれた時にかなり目が死んでいるというか、顔が悩んでいるというか。

とにかく、何かを思い詰めているのがバレバレ。

ほら、今だって。

『…………。』

久しぶりにオフの時間が被ったから一緒にいて、Aちゃんはお昼ご飯を作ってくれているのだけど、人参を切ってる顔はかなり死んでいる。

俺がいる事を分かった上でこの顔になっているのかもしれないけれど、だとしたら一人でいる時のAちゃんはもっと辛そうな顔をしてるはず。

何か悩みがあった時に誰にも相談せずに思い悩んでしまうような子だという事は知っているから、少しでも俺が発散の場になってあげたくて。

思わず、声をかけてしまった。

田中「Aちゃん？」

『ん？』

田中「ちょっとここ来て？」

『あー……いま料理してるから後でもいい？』

田中「駄目。すぐ。ここ。」

『……え、三語文でしか話せなくなった？』

田中「はい10秒前ー、きゅーう、はーち、なーな、」

急かしてしまうのは悪いと思ったけど、「ゆっくりでいいよ」とか「料理終わってからでも大丈夫だよ」と言ったら忘れてしまう気がして。

秒数をカウントし始めると、Aちゃんは「え、え、待って待って、」と言いながら手を洗い、タオルで拭いた後にすぐにこちらに来た。

俺が座っているソファーの前に来たけれど何故か座らないので「え、座ってくんね？」と促すと、「あ、うん。」と言いながら腰をかける。

『どうしたの？』

田中「………一つだけ俺のお願い聞いてくれる？」

『うん、なに？』

田中「……一回さ、俺の胸の中に来てくんね？」

『はい？』

田中「だからぁ、」

俺の隣に座っているAちゃんの顔が自分の胸に来るようにぎゅっと抱き締めると、驚いたような声とAちゃんの体温が身体に染み渡る。

いや、違う、自分が癒される為に呼んだんじゃない。

『なに、どうしたの？』

田中「いやこっちのセリフだし。絶対なんかあったっしょ。」

『……なんかって？』

田中「んー……詳細は分かんねぇけど、絶対なんかあった。」