怪演女優 Thirty Eight (ページ10)

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イカゲームページ10

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『ないぷりの反響すごいなぁ……。』

田中「んねー、韓国とかでめっちゃ見られてるらしいよ。」

『わたし見られて大丈夫な演技してたかな……。』

田中「えー？大丈夫だよ、Aちゃんの演技は世界一だもん。」

『んー……そう言ってくれるのは嬉しいけど、不安だな。』

田中「そんな可愛い顔しなくても大丈夫だってば。」

ソファーに座りながらNetflixで配信が始まった【猛犬騎士とプリンセス】に関するネットニュースを見てプレッシャーにやられている。

そんな私の弱気な独り言を聞いて樹くんは私の事を後ろからぎゅっと抱き締めて、そのまま私の頭から髪の毛を撫でて、頬にキスをして……。

妙に慣れている仕草に恥ずかしさで顔を真っ赤に染めているのを知ってか知らずか、何事もなかったかのように隣に座ってスマホを触る樹くん。

なんで慣れてるんだろう、今まで何人の女性に同じ事してきたんだろう。

考えても仕方のない事を考え始めてしまったら終わりで、なんだか悔しくて樹くんの脇腹をつつくと変な声が出たので我慢できずに笑ってしまう。

田中「んもー、なんだよー。」

『ふふっ、ごめん、面白い声でたから。』

田中「俺の脇腹つついて遊ぶの辞めれる？」

『ごめんごめん。……わぁ、』

田中「んー？」

『見てこれ、イカゲームの型抜きのやつ作ってる人いる。』

そう言って樹くんに見せた画面には、Twitterのある投稿。

いまNetflixで話題の【イカゲーム】という命を懸けたデスゲームのドラマに出てくるカルメ焼きで出来た韓国風型抜きの写真だった。

その投稿を見る限り、あの型抜きの正体は韓国では「ポッキ」と呼ばれる物で、日本では所謂カルメ焼きと呼ばれる物と同じらしい。

正直な所、カルメ焼きは中学生の時に理科の実験で班活動で作った記憶しかないし、そもそもそれを食べた記憶もないのであやふやなんだけど。

田中「えっ、すげぇ！？」

『樹くんってこういう型抜きやった事ある？』

田中「んーん、俺ない。Aちゃんは？」

『私もないな……。』

田中「…………。」

『……やりたいって目してるね。』

田中「……Aちゃんは？型抜きやりたくない？」

『……やりたい。』

田中「へへ、だと思った。やりたそうな顔してたもん。」

『嘘、顔に出てた？』

田中「出まくり。」

『うわぁ、女優失格だなぁ……。』

田中「何言ってんの。……ね、一緒に作ろ？買い物とかしてさ。」

『うん、そうしよっか。』