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新垣「お父様が世界でも有名な【宮園流】の家元で、本人も大学卒業したらそれを継ぐ事になるって言ってたの。その時点でもう周りとは違う。だから……いい意味でも悪い意味でも、周りとは違うような扱いを受けてきたんだって。」
田中「……苦しいな。」
新垣「うん……、周りからしたら相手を苦しめてるなんて微塵も思っていない、だからこそ辛いんだと思う。過度な期待ってされる方が苦しめられるパターンが多いから。」
田中「……どうやったら、宮園は楽になれんのかな。」
新垣「……蓋をしてる自分の気持ちをさらけ出せたら、楽になれるのかもしれないね。……って言ってるけど、明日は幸か不幸か本人の将来にも関わる、美術の表彰があるけど。」
田中「…………先に謝っとくわ、ごめん。」
新垣「えっ?」
田中「どんな手を使っても、あいつの事楽にしてやりたい。背負ってる荷物軽くしてやりたいんだよ。……悪ぃな。」
新垣「……宮園さんに対してそんな事を思ってくれる人、初めて見た。……だからかな、宮園さんが伴野くんと友達になりたかったのって。」
田中「……どういう事だよ、」
新垣「なんでもない。……宮園さんの事を考えて、想う事は止めないけど……絶対に乱暴な事はしないように。」
田中「……好きな女にそんな事できねぇよ。」
新垣「……好きな女、か。」
・
─ 翌日 ─
「……よし、これで準備万端ですね。本番、よろしくお願いしますよ。」
『……はい。』
田中「宮園、」
『伴野くん……?』
田中「今日の昼、屋上じゃなくてプールで食うぞ。」
『え、プール?』
田中「じゃあ。」
『えっ、あ、……、プール、』
「……ねぇ、宮園さん、最近どうしたの?」
『……どうしたって、何がですか?』
「どうして伴野くんみたいな生徒と、」
『……駄目ですか?』
「いや、駄目じゃないけど……。」
『交友関係にまで、変な期待しないで貰えますか。……私は私が関わりたい人と関わりたいだけなんです。』
「……ごめんなさい。」
『……私もごめんなさい、感情的になってしまって。……じゃあお昼休みが終わったら体育館に向かいますね。』
・
『どうしたの、プールサイドでご飯食べたいなんて。』
田中「……こっちの方が水もあって涼しいだろ。」
『そうだね……ごめんね、知ってるかもしれないけど今日表彰式があるから早く行かなきゃいけないの。』
田中「分かってるよ。……その前にちょっといいか。」
『……うん。』
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もえ(プロフ) - 花火2016さん» いえいえ!これからも密かに楽しませて頂きます^ ^ (2021年7月16日 18時) (レス) id: 5c6cbb5cac (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - もえさん» こんにちは!コメントありがとうございます!恥ずかしながら存じ上げなかったので今調べたのですが、めちゃくちゃ美しい方ですね…!【君の名前で僕を呼んで】も気になるので近い内に観てみますね!教えていただきありがとうございます!! (2021年7月16日 15時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 花火さんこんにちは!ティモシーシャラメさんご存知でしょうか?君の名前で僕を呼んでという映画がとても美しいのでもしご覧になったことが無かったら是非お勧めします! (2021年7月16日 7時) (レス) id: 5c6cbb5cac (このIDを非表示/違反報告)
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