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『きっと有香さんは名越さんを信じたいだけなのかもしれないわね。夫も自分も慕っていた兄のような人が、自分の愛する人を殺す訳がないって。』
八尋「では、名越様の嘘に関しては。」
『なんか……根本的に嘘くさかったのよね、一番の親友というのは本当だったと思うんだけど、それにしてはかなり淡々とした口調で全て喋っていたなと思って。何かを隠している可能性が非常に高い。』
八尋「それでは、お嬢様は名越様が犯人だと？」
『少なくとも水城さんよりは可能性は高いと思ってる。そもそも水城さんが殺害した後に爆発する計画を立てて、一之瀬さんを殺しに屋敷に忍び込んだとは思えないのよね。金品が目的なら遺体を燃やす必要なんて無い。』
八尋「たしかに、出来上がりすぎてる感じはしますね。」
『ただ……やっぱり色々と散らかってるのよね。遺体を燃やした理由は何。しかも爆発という周囲に分かってしまうようなやり方で。はぁー……こんな時にシャーロック・ホームズが居てくれたら、ねっ！！』
八尋「えっ、ちょ……なぜ、壁を殴ったんですか……？」
『決まってるじゃない、犯人がここにいるからよ。』
八尋「えっ、と……？」
『…………………………、』
八尋「………それは、事実ですか。」
『悪いけど、名越さんを呼んできてくれる？大至急。』
八尋「は、はい。」
『なるほど……かなり凝ったトリックね。』
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泉澤「なんですか？大事な話って。」
『鍵閉めて。』
泉澤「あ、はい。」
『……犯人が分かったの。犯人と、この謎が多い散らかりまくりの殺人事件の全てのトリックが。』
泉澤「へぇ。……もしかして、犯人は俺だと？」
『いや、あなたじゃない。犯人はこの部屋の中にいる。』
泉澤「……俺じゃないならあなた方二人になりますけど。」
『あまり誤魔化すのは上手じゃないみたいね。』
泉澤「はっ？」
『希詠。』
八尋「はい。よいしょ……本棚、ここに移動して大丈夫ですか？それとももっと移動させます？」
『いや、そこで大丈夫よ。ありがとう。それで、ここのレンガを外して……ここをこうして、こう、っ！』
泉澤「！………、」
古川「……あっ…………、」
『どうも、初めまして……かなり狭い所に入ってたのね。』
泉澤「………何故、」
『ここ、本棚が動かされた跡があったのよ。かなり隠れるのに焦っていたみたいね。それと……ここだけ微妙にレンガの色が違ったの。恐らく防火対策がされているレンガでしょ？』
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