好きです、 ページ40
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綾野「連絡くれてありがとう。」
『……いえ。…アルコール強めのカクテルください。』
綾野「お、じゃあ…生一つ。」
店員さんがビールと…名前はよく分からないカクテルを運んできて、すぐに「乾杯。」とグラスを合わせた。
綾野「…で、話って?」
剛さんに優しく微笑まれると、また胸がぎゅっとするけど、一度深呼吸をして心を落ち着かせ、すぐにこう言った。
『……好きです。』
綾野「え?」
『剛さんの事が、好きです。』
告白の仕方なんて分からないし、回りくどい言い方は直接伝わらなくて逆に恥ずかしい。だから、玉砕覚悟で直球勝負。
さすがに告白されるとは予想していなかったのか、剛さんは言葉に詰まっているように見えて少し申し訳なくなる。
こんな無言の時間に耐えられなくなって、カクテルをぐいっと飲むと、想像以上にお酒の味がして少しびっくりした。
だけどまだ無言の時間は続いてて、私は自分が作り出したこんな気まずい空間に我慢できなくなって、こう言った。
『……ごめんなさい、告白なんて一度もした事がなくて。…まだ会ってすぐなのに…迷惑でしたよね、すいません。』
綾野「迷惑なんかじゃないよ。嬉しい。でも…俺なんかでいいの?」
『どういう、意味ですか?』
綾野「……だって俺、アラフォーだし。Aちゃんとは年齢は17歳も違うんだよ?だから、俺なんて、」
『剛さんがいいんです、どうしても。…剛さんは、大人になって初めて、自分から好きになった人なんです。』
綾野「……そうなんだ、」
『……好きなんです、剛さんが。…大好きです。』
お酒の力もあるのだろうか、口から言葉がポンポンと流れるように出てきてしまう。抑えようと思っても抑えられない。
テーブルで向かい合わせで座っている剛さんの目が見れない。恥ずかしくて、申し訳なくて。どうしても見れないけど、ビールジョッキをごとっと置く音は聞こえてきた。
綾野「……嬉しいな、ありがとう。でも、やっぱり、俺おじさんだから…Aちゃんを幸せに出来るかな、って。」
『……おじさん、?』
綾野「今まで見てきた物も、多分、正反対だし、Aちゃんは、俺よりもずっとキラキラしてて、だから、」
『剛さんは、おじさんなんかじゃないです、』
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