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浅香「……今、なんて…？」
『……別れよ。』
浅香「……ごめん、そんなに、怒ってる……？」
『……逆に怒れないから言ってるの、』
浅香「じゃあ、えなんで……？」
『……もう無理なんだよ。航大くんは私との未来を見てくれてたけど、私は航大くんのお嫁さんになる覚悟ができない。どう頑張っても、そんな未来は見れなかった。』
浅香「なら、……結婚はすぐじゃなくても、」
『見ている未来が完全にすれ違ってる時点で、多分もう終わりなんだよ、私達。もう修復するの無理だよ。』
航大くんにお世話になっているのも分かっているし、航大くんがいたから、今、仕事が出来てるのも分かる。
だけど、それでも、自分でしっかり満足する未来を歩んでいきたいと思ってしまった。そんな私は傲慢なのか。
我儘で、汚くて、恋とか、愛とか、恋人とか夫婦とか。正直全くわかっていない自分が言う資格はない。
だけど、言う。
『……航大くんは私にとっての恩人で、大事な人には変わりないから、お互いに「この人と結婚したい。一生一緒にいたい。」って思える人と、幸せになって欲しい。』
浅香「………本当に、もう無理なのかな、」
『……ごめん、身勝手で。でも、気持ちがすれ違っているのにズルズルいくの、絶対お互いの為にならないよ。』
浅香「それは、……そうだろうけど、でも、」
『なに言われたって、気持ちは変わらないよ。』
バッグの中に入っているキーケースに付いていた、航大くんの家の合鍵を取って、航大くんの手を取って渡す。
もう終わりだよ、と言わんばかりに、何も言わずに。
すると航大くんも自分のポケットに入っている私の家の合鍵をキーケースから取り、私の手を取り渡してきた。
浅香「……ありがとう。」
『こちらこそ。……ありがとう。』
浅香「……Aちゃんは、幸せになってね。」
『……航大くんも。幸せになってね。』
浅香「……もちろん。」
そう言って航大くんは手を差し出してきた。
私はその手を握ると、航大くんも手を握る力を強める。この大きい手も好きだった。好きだったけど、
これ以上、航大くんを振り回す事は出来ない。
浅香「……最後は笑顔で終わりたいな、」
『……うん、そうだね。』
浅香「ねぇ、この後って用事ある？」
『別にないけど、』
浅香「……お酒抜けたら、ドライブしようよ。」
『ドライブ？』
浅香「カメラ持ってさ、」
『……どういう事？』
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