怪演女優 XVI (ページ48)

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『失礼しまーす。航大くーん…。』

浅香「あ、良かった…Aちゃん来てくれた…安心する…。」

航大くんはそう言って、ドアを閉めた私の傍に小走りで寄ってきて、ドレスが崩れない程度にぎゅっと抱き締めてきた。

やっぱり182cmと158cmでは大きさが違う。抱き締められてるというよりすっぽり包み込まれてるような感じ。

それか布団にくるまっているような感覚というのが正しいか。

航大くんもアカデミー賞は初めてで、やっぱりめちゃくちゃ緊張している。さっきロークラメンバーで盛り上がったあの方法を教えてあげようか。

『緊張してる？』

浅香「してるよ…してない方がおかしいでしょ。」

『大丈夫だよ、結婚も決まってない時に私のお父さんに逢いに行く時よりかは緊張しないから大丈夫。』

浅香「……別にお義父さんを悪くいうつもりもないけど、さすがに初めてのアカデミー賞には負けちゃうよ。」

『じゃあ…どうしよう。どうしよっか。』

浅香「なんでAちゃん緊張してないの…？」

『緊張はしてるよ？でもなんだかんだ二回目だし…。』

航大くん。こう見えて結構緊張しい。なんならドラマを一本撮り終わる度に熱出してたという伝説がある。

そんな緊張しいな人がアカデミー賞に出たら…もう、爆発してしまうんじゃないかと心配になってしまう。

航大くんは入場はレッドカーペットではしないから、まだよかったと思うけど…もし仮に入場するとかなったら本当に爆発してしまうのではないか。

『航大くんさ、私にドキッとした事ある？』

浅香「めっちゃある…。」

『めっちゃあるか。笑そうか…笑』

浅香「なんなら今もドキッとしてる…綺麗だから…。」

あぁ…こういうこと言ってくるんだよなぁこの人。

ほんとこの人。そういうとこ大好き。大好きなんだけど今は言わないで欲しい。こっちまで緊張してきた。

いかんいかんいかん。…危ない。さっき緊張が解けたばっかりなのに…航大くんにドキドキしてちゃ胸を張って入場は出来ない。

『あ、じゃあ、The fake worldとかカブトムシで、初めて私とヌードシーンとかキスシーンやる時は緊張した？』

浅香「人生でいちばん緊張した。」

『それよりかは緊張しないと思うなぁ…。』

浅香「………あ、なんか楽になった…ありがとう。」

新しい特技ができた。【人の緊張を解くこと。】

……ホリプロのプロフィール欄にかけるかな。