episode 128 ページ39
・
『美味しかったです、肉まん。』
神谷「アイスとかじゃなくて良かったんですか?」
『はい。もう寒くなってきたので。』
神谷「朝夕は冷えますしね…。」
神谷さんの車の中で、買ってもらった肉まんをもしゃもしゃ食べながら、今更ながら世間話をする。
そういえば最初の目的が私を部屋から引っ張り出す事、だと覚えている人は、一体どのくらいいるのだろう。
私はきっと覚えていない。
そういえば今日って凄いことが立て続けに起こったことに気付いているのも、きっと私くらいだろう。
まず、部屋から引っ張りだされて、
神谷さんの事好きだって気付いて、
神谷さんの元彼女さんのお墓に行って、
神谷さんの事抱きしめて…
なんだか一日で充実しすぎていて頭がパニックになる。
それでも幸せなのは、コンビニの駐車場にハンドルにもたれかかりながらブラックコーヒーを飲ん出る神谷さんがいるから。
そう思ってしまうとなんだかニヤニヤが止まらなくて、必死に袖口で隠してしまう私はきっと馬鹿なのだろう。
神谷「酔いました?」
『あ、いえ、酔ってません。』
神谷「もうすっかり暗くなりましたし…寒いなら俺の上着で良いなら膝の上とかにかけててください。」
神谷さんはそう言って、運転席の背もたれにかけてあったさっきまで着ていた上着を私に渡してくれた。
「ありがとうございます。」と神谷さんにお礼を言いながら、布団をかけるように神谷さんの上着をかける。
神谷さんの匂い。
この匂いどこかで嗅いだことあるなぁ…と思ったけど、きっと神谷さんのお家の布団の匂いだろう。
優しくて、あったかい匂い。
その中にどこかクールな匂いもあって。
まるで神谷さんみたいだなぁ…。なんて思っている事は絶対に神谷さんには知られていないだろう。
人間はふとした瞬間に「あ、この人好きだなぁ。」と思う瞬間がある、と何かの本で読んだのを覚えている。
だけど私はふとしなくても神谷さんの事が好きだなぁ、と思ってしまうので、きっとどっぷり好きになっているのだろう。
神谷「もし眠かったら寝ててくださいね。」
『ありがとうございます…。』
神谷「…マンション前で起こしますから。」
『…はい。』
マンション前で起こされる、という事は、もう神谷さんとは今日はお別れになってしまう。という事だ。
自分をシンデレラに例えるのはどうかと思うけど、12時の鐘が鳴ったシンデレラになったような気分だ。
急に気温が低くなった気がする。
1001人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そある(プロフ) - こんにちは。突然連絡をしてしまい、すみません!あなたの番ですの再放送をしており、この夢小説の内容が気になって、読んだ結果とても面白い、楽しいと感じました。完結おめでとうございます!作者さんにはとても感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。 (2021年7月10日 16時) (レス) id: c056380204 (このIDを非表示/違反報告)
橋本@かんな(プロフ) - 完結おめでとうございます!全話楽しく読ませていただきました。終わってしまうのが寂しいです…。作者さんには「ありがとう」でいっぱいです。お疲れ様でした! (2019年11月10日 10時) (レス) id: f44fa375d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも陰ながら応援していました。とても読みやすく本当に面白くてキュンとして完結したのも少し寂しいです ただ本当にありがとうございました!この小説に出会えて良かったです (2019年11月10日 2時) (レス) id: cd6555e146 (このIDを非表示/違反報告)
がなと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しみに待っていた小説でした。本当に面白かったです! (2019年11月10日 1時) (レス) id: 9453040fcf (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 135話に誤字がありました。「同性」ではなく、「同棲」です。 (2019年11月9日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ