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episode 127 ページ37







その後、神谷さんは一分経っても離してくれなかった。

それで気持ちが抑えられれば私は別にいいんだけど。

死んだ恋人への気持ちを抑える必要も無いのでは、と思いながらも、神谷さんの背中をとんとんと優しく叩く。

子供をあやす様に、なんて表現があるけれど、この行為はそんな言葉じゃ表せないくらい大事な事だと思う。

神谷さんと二人でこうしている時間が、長ければ長いほど、私もなんだか泣きそうになってしまって。

あの日、あの時、泣いてしまったのは、あの時から神谷さんにどこか惹かれていたからではないか。なんて。

そう思うと、また感情がわからない涙が頬を伝って、神谷さんが着ている服に涙を落としてしまった。


神谷「…なんで、あなたが泣いてるんですか。」

『分かんない、です。』

神谷「……本当におかしい人だ。」


神谷さんは私を抱き締めている手を解いて、ポケットからハンカチを出して、私の涙を拭いてくれた。

その時の神谷さんの顔は、帰ってきた時とは見違えるほど穏やかに見えて、少しだけ嬉しくなってしまった。


『…落ち着きました?』

神谷「その顔で言われても。」

『ですよね、すいません、泣きやみます。』

神谷「…今度は、俺が抱き締めましょうか。」

『え……?』

神谷「…冗談です。」


冗談じゃなくても、良いのにな。

そんな事言えるような可愛い女ではないことは自分でも重々わかっているので、その言葉に黙ってしまった。

本当に泣くべき人物は神谷さんだ。と自分の心を落ち着かせて、私は一度深呼吸をして神谷さんに笑いかけた。

もう大丈夫です。

その言葉を出す代わりに。


神谷「…お礼に何か奢ります。」

『え、いいですよ。』

神谷「……今日はあなたに奢りたい気分なんです。」

『…じゃあ、お言葉に甘えて……。』


奢ってもらう、なんてそんなの口実で、本当はもうちょっと神谷さんを隣で見ていたかったのだ。

これはきっと、あの神谷さんの絵の精度を高める為。

そうやって自分の心臓の鼓動を落ち着かせて、何ともないですよ。と言いたげな顔を必死に作った。

横からの神谷さんの視線を感じて、神谷さんの方を見るけれど、その時には神谷さんは前を向いていた。

気のせいか。

そう思うのは少し切ないけど、まぁ、いいや。


神谷「…車出すんで、シートベルトお願いします。」

『分かりました。』


この時間が、一分一秒でも、長く続けばいいのに。

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そある(プロフ) - こんにちは。突然連絡をしてしまい、すみません!あなたの番ですの再放送をしており、この夢小説の内容が気になって、読んだ結果とても面白い、楽しいと感じました。完結おめでとうございます!作者さんにはとても感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。 (2021年7月10日 16時) (レス) id: c056380204 (このIDを非表示/違反報告)
橋本@かんな(プロフ) - 完結おめでとうございます!全話楽しく読ませていただきました。終わってしまうのが寂しいです…。作者さんには「ありがとう」でいっぱいです。お疲れ様でした! (2019年11月10日 10時) (レス) id: f44fa375d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも陰ながら応援していました。とても読みやすく本当に面白くてキュンとして完結したのも少し寂しいです ただ本当にありがとうございました!この小説に出会えて良かったです (2019年11月10日 2時) (レス) id: cd6555e146 (このIDを非表示/違反報告)
がなと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しみに待っていた小説でした。本当に面白かったです! (2019年11月10日 1時) (レス) id: 9453040fcf (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 135話に誤字がありました。「同性」ではなく、「同棲」です。 (2019年11月9日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月5日 17時

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