episode 125 ページ35
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神谷 side
神谷「…来たよ。」
花を供えて、墓で眠るあの人に話しかける。
傍から見れば墓に話しかけている頭のおかしい男、なのだろうけど、俺からすればこれが普通なのだ。
ましてや、今日で来るのは最後なんだから。
最後に一度だけ、一度だけでいいから話したかった。
神谷「……好きな人ができた。もうここには来ない。」
二階堂さんが好きなのに、まだここに来るなんて。
俺はそんな図々しいことは出来ない。
確かに悪いことは何回かしているけれど、あの人にも、二階堂さんにも申し訳ない事をしてしまう。
神谷「…まだ俺が好きなだって事、知らないけど、知ってたとしても、会えばいいのに。って言ってくれる。」
頭の中で、彼女が言いそうな言葉が響く。
あの鈴のような綺麗な声で。
実際に行っていても聞こえるわけではないのに、最後の悪あがきと言うべきか、勝手に脳内再生してしまう。
”へぇ、どんな人？”
神谷「…感情とか表情が豊かで、すごく優しい人。」
”その人の仕事は？忙しいの？”
神谷「…美大に通ってて、画家目指してるんだって。」
”私と絵はどっちが上手い？”
神谷「………人物画はあの人の方が上手い。」
”えぇ、なんか嫉妬しちゃうな。”
脳内にまだ住んでいる彼女と勝手に話を進める俺は、やはり傍から見たらきっと気持ち悪い変な奴なんだろう。
それでも、脳内の彼女と会話をしてしまう。
別れに来たはずなのに、どこかまだ行きたくないという思いがある自分に、自分で幻滅してしまう。
だけど…、
神谷「…亡くなってから今まで、お前の事を忘れた日は一日もない。だけど、もう、けじめを付けなきゃ。」
彼女は、この言葉になんて返すのだろう。
多分、何も言わずに笑うのだろう。
背中を押して、一歩を踏み出させようとするのだろう。
乱暴に、だけど優しく。
神谷「……じゃあ。」
そんな彼女に背中を押されたような俺は、墓に手を合わせてから、後ろを向いて車の方に歩き出した。
もうここには来ない。
彼女には、会わない。
未練なんてないはずなのに。
ない、はずなのに……………
どうしてこんなにも、涙が溢れて止まらないのだろう。
車にそのまま行ったら、きっと心配されてしまう。
通夜や告別式を行う建物にあるトイレの中で、必死に涙を抑えてから、二階堂さんが待つ車に向かった。
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そある(プロフ) - こんにちは。突然連絡をしてしまい、すみません！あなたの番ですの再放送をしており、この夢小説の内容が気になって、読んだ結果とても面白い、楽しいと感じました。完結おめでとうございます！作者さんにはとても感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。 (2021年7月10日 16時) (
レス) id: c056380204 (このIDを非表示/違反報告)
橋本@かんな(プロフ) - 完結おめでとうございます！全話楽しく読ませていただきました。終わってしまうのが寂しいです…。作者さんには「ありがとう」でいっぱいです。お疲れ様でした！ (2019年11月10日 10時) (レス) id: f44fa375d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーナ(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも陰ながら応援していました。とても読みやすく本当に面白くてキュンとして完結したのも少し寂しいです ただ本当にありがとうございました！この小説に出会えて良かったです (2019年11月10日 2時) (レス) id: cd6555e146 (このIDを非表示/違反報告)
がなと(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも楽しみに待っていた小説でした。本当に面白かったです！ (2019年11月10日 1時) (レス) id: 9453040fcf (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 135話に誤字がありました。「同性」ではなく、「同棲」です。 (2019年11月9日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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