episode 103 ページ13
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神谷「荷物、これで全部ですか?」
『はい!全部です!』
神谷「じゃあ出発するんで乗ってください。」
神谷さんの車の後部座席に画材やら洋服が入っているバッグやら、色々な荷物を乗せ、私は助手席に座った。
車は背が低くて最初は乗るのが大変だったけれど、やっぱり今は慣れてしまって、簡単に乗れるようになった。
なんか今思った事、前も思ったような気がするけど、それほど乗れるようになったという事だろう。きっと。
神谷「発車します。」
『お願いしまーす…。』
神谷さんの車はゆっくりと発進し、神谷さん宅のマンションの駐車場を出て行って、大きな道路に出た。
静かに動くこの車に眠くなってしまいそうだったけど、これからある事を予想していると緊張してしまった。
…もし、犯人が逆上してお兄ちゃんとか、私とか、翔太さんに襲いかかって来たりしたら、どうしよう。
その場に誰かいたとしたら、私は守れるのだろうか。
神谷「…さん、Aさん。」
『え…?』
神谷「…大丈夫ですか、ぼーっとしてましたけど。」
『すいません、ちょっと考え事してました。』
神谷「すいません、考え事している時に話し掛けて。」
『いえ。…どうしました?』
私は一旦その不吉な事を考えるのを辞め、神谷さんが私に話そうとしてくれた事に耳を傾ける。
神谷さんは私の方をちらっと向くけれど、また目線を前にもどし、赤信号の時にゆっくりと止まってくれた。
神谷「…また、家、来てくれますか。」
『……行きます。行きます!え、行っていいんですか?』
神谷「…もちろんです。」
『やった…じゃあ毎週来ますからね!』
神谷「え、いや、あの…はい。」
『冗談ですよ、神谷さんから誘ってください。』
私が笑いながらそう言うと神谷さんは前を向きながら、いつもより少しだけ優しい笑顔を浮かべてくれた。
神谷さん本人から直々に許可をもらえるとは思ってなかったから、なんだか凄く嬉しくなってしまった。
気付いたら、さっきまでずっと考え込んでしまっていたこの後の不吉な予想なんて忘れてしまっていて。
まさか、神谷さんはそこまで考えて話し掛けてくれたのではないか。と考えたけれど、いや、まさか。
神谷「…約束ですよ、また来てくださいね。」
『はい!また行きます!』
神谷「またケーキ作ってくれると、嬉しいです。」
『もう完全にセロリ大丈夫になりましたね…!』
神谷「…ありがとうございました。」
『こちらこそ。』
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そある(プロフ) - こんにちは。突然連絡をしてしまい、すみません!あなたの番ですの再放送をしており、この夢小説の内容が気になって、読んだ結果とても面白い、楽しいと感じました。完結おめでとうございます!作者さんにはとても感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。 (2021年7月10日 16時) (レス) id: c056380204 (このIDを非表示/違反報告)
橋本@かんな(プロフ) - 完結おめでとうございます!全話楽しく読ませていただきました。終わってしまうのが寂しいです…。作者さんには「ありがとう」でいっぱいです。お疲れ様でした! (2019年11月10日 10時) (レス) id: f44fa375d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも陰ながら応援していました。とても読みやすく本当に面白くてキュンとして完結したのも少し寂しいです ただ本当にありがとうございました!この小説に出会えて良かったです (2019年11月10日 2時) (レス) id: cd6555e146 (このIDを非表示/違反報告)
がなと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しみに待っていた小説でした。本当に面白かったです! (2019年11月10日 1時) (レス) id: 9453040fcf (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 135話に誤字がありました。「同性」ではなく、「同棲」です。 (2019年11月9日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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