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episode 52 ページ8








神谷 side


神谷「……。」

『…美味しいですか?』

神谷「美味しいです。」

『良かった。』


二階堂さんに連れてきてもらった喫茶店のコーヒーは、最近飲んだ中でも一番だと感じるほど美味かった。

俺の反応を見た二階堂さんは、嬉しそうに笑う。

…やっぱり、どこか彼女に似てるんだよな。


『ここ、コーヒー豆無料で貰えるんです。私も家で飲みたいので、ちょっと貰ってきますね。』


二階堂さんはいい意味で行動力があり、笑顔でマスターの所に行き、コーヒー豆を貰いに行った。

よく聞こえなかったが、「今日はサービスしてやる。」的な事を言われたのか、終始ニコニコしていた。

正直、可愛かった。


『神谷さん神谷さん。マスターが今日は連れもいるからーって、二袋くれたので、一袋どうぞ。』

神谷「…良いんですか?」

『はい。飲み過ぎないようにしてくださいね。』

神谷「ありがとうございます。」


口の周りに白い髭が生え、風貌がある「マスター」と呼ばれる男にコーヒー豆を貰い、喜んでいる二階堂さん。

小さめの袋にずっしりと入っているコーヒー豆を、自分が座っているソファーの空いているところに置く。


『ここ、あのマンションに引っ越してくる前から大好きな場所なんです。雰囲気が良いと言いますか…。』

神谷「…分かります。」

『所々飾られている絵とか、素敵なんですよね…。』


店の壁に所々飾られている絵を見て、二階堂さんは惚れたような、うっとりとしたような表情をうかべる。

そんな、男の前でも滅多に見せないであろう表情の二階堂さんに我慢ができず、聞いてしまった。



神谷「…どうして、二階堂さんは絵を描くんですか?」



そう聞くと、二階堂さんは考え込む。


『…自分でも分かりません。』

神谷「…え?」

『多分、誰かに喜んで欲しいから。とか、別にそんな褒められるような…大層な理由じゃないんですよ?』

神谷「…そうなんですか。」

『誇れる場所がそこしかないからか分からないけど…なんか、本能が描けって言ってるような気がして。』


思っていたような回答ではなかったけれど、二階堂さんの表情はいつにも増してキラキラと輝いていた。

この人は、あのマンションの中では唯一普通な人だと自分の中で思っていたけど、やはりどこか変な人だった。

…普通よりもひと味違い、面白くて良いけれど。

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花火2016(プロフ) - 明里香さん» 本当によく見てらっしゃる…ありがとうございます。 (2019年9月11日 0時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話にも同じ誤字がありました。「児島」ではなく、「児嶋」です。複数箇所あります。 (2019年9月11日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 前に戻りますが、58話に誤字がありました。「児島さん」ではなく、「児嶋さん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 88話に誤字がありました。「聡一くん」ではなく、「総一くん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
あめり(プロフ) - 毎日密かに楽しみにしています...!()応援しています! (2019年9月5日 11時) (レス) id: 99ae7f7f0a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月18日 13時

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