どーやんの妹。第２章

episode 85 ページ41

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『もうおなかいっぱいです…。』

神谷「…コンビニでアイス買ったじゃないですか。」

『良いんですよ、甘いものは別腹です。』

神谷「…二つ買ってませんでした？」

『…バレましたか。』

神谷「…焼肉の匂い、服に着いちゃいましたね。」

『まぁ、服に幸せな思い出が残ったって考えましょ。』


神谷さんがマンションの部屋まで送ってくれるって言って聞かないので、折れて一緒に帰る事になった。

笑い過ぎたからか、今日はすごく疲れた。

今日はいつもよりも楽しくて仕方がなかった。


神谷「…あなたは本当にポジティブですね。」

『神谷さんがマイナス思考なだけですよ。』

神谷「そう、ですかね。」

『プラス思考の神谷さんも、想像できないですけど。』

神谷「…どんな感情で聞けばいいんですか。」

『…とりあえず笑えばいいんじゃないですかね。』


もう楽しくて楽しくてだけど疲れ過ぎてて、ほとんどいい加減な答えを出してしまったような気がするけれど。

神谷さんも優しく微笑んだ。

今日は神谷さんの色んな表情が見れたような気がする。


『神谷さん、今日はよく笑いますね。』

神谷「…そうですかね。」

『珍しい。明日は大雨ですかね。』

神谷「え？」

『冗談です、ほら、笑ってください。』


最初にあった頃よりも明らかに私と神谷さんの距離は縮まっていて、私もよく笑うようになった気がする。

だけど今日はなんだか、今までで一番距離が縮まったような記念の日…って感じがして、なんだか恥ずかしい。

肩の力がふっと降りて、神谷さんに自然に笑いかけられるようになった自分にも拍手しなければ。

…ここからのアングルの神谷さん、素敵だな。

私の方が神谷さんよりも背が低いから、下からのアングルになってしまうのだけど、そこもまた様になる。


神谷「…俺の顔になんか付いてます？」

『いいえ、なにも付いてません。』

神谷「…あんま見ないでくださいよ。」

『えぇ、照れてます？神谷さん。』

神谷「照れてないです。」

『えぇー、そこは照れてるって言わないと。』

神谷「…善処します。」

『…普段から善処って言葉使う人、初めてです。』


とっくに部屋の前に着いてしまった。

今日はいつもより少しだけ名残惜しい。


『…また連絡します。』

神谷「…じゃあ、また。」

『おやすみなさい。』

神谷「…おやすみなさい。」


一段と疲れたはずなのに、何故か笑顔になってしまう。

なんだか不思議な日だ、今日は。

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