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episode 83 ページ39







神谷side


神谷「…あれから、何もないですか。」

『はい、ストーカーの件以来は何もありません。』

神谷「良かった。」


二階堂さんとこうして会うのも、例の件以来だ。

まだ最後に会ってから二日ぐらいしか経っていないはずなのに、長い時間会っていなかったように感じる。

それは彼女に対する好意に気付いたからか、それとも事件の事以外に何もしていなかったからか。

将来、警察官になりたいと言っている子供達に言うが、捜査は頭を使いすぎて疲れるし、正直楽しくはない。

だけど二階堂さんがエレベーターホールで笑顔を見せてくれた時、疲れがふっと取れたような気がした。

恋とは不思議なものだ、と常々思う。


神谷「…何を食べましょうか。」

『神谷さん、好きな食べ物とかあります?』

神谷「…肉ですかね。」

『じゃあ、焼肉なんてどうですかね。』

神谷「…二階堂さんがそれでいいなら。」

『じゃあ焼肉に決定で。久しぶりに食べます。』


可愛い、好きです。

二階堂さんの笑顔を見ていると、運転に集中できなくなるほどその言葉で頭の中が侵食されていくのを感じる。

もちろんそんな事言えないけれど。

横目で見た彼女はさっき見た時よりも目を輝かせ、言葉に出さなくても分かるぐらい焼肉を楽しみにしてる。

あぁ、可愛い。

信号が赤の時に彼女の横顔を見つめる。

すると視線に気が付いたのか、赤い信号の光に照らされた二階堂さんが「ん?」と言いたげに首を傾げた。

その笑顔を見て、自分の彼女にベタ惚れしている事を意図せず再確認してしまい、恥ずかしくなる。

赤い顔がバレないので、この時だけは赤信号に感謝だ。


『…神谷さん、青です。』

神谷「え?あ、はい。」


二階堂さんに指摘され、信号を過ぎて左折する。

自分でも分かるほど動揺しているのが伝わったのか、二階堂さんの小さな笑い声が聞こえた。

俺はそんな姿を見られたのが少しだけ恥ずかしくて、顔には出てない事を願うが、顔は熱くなっていた。

体まで熱くなってきて、ハンドルを握っていない手で自分のネクタイを緩め、片手でシャツのボタンを開ける。

少しだけ涼しくなったような気がする。


『…神谷さん、何かありました?』

神谷「いいえ、何も。…どうしてですか?」

『なんかいつもの神谷さんと違うような雰囲気があるから、つい気になっちゃって。忘れてください。』


そんな事を言われて忘れられる訳がない。

狙ってやっているとすれば、彼女は中々の策士だ。

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花火2016(プロフ) - 明里香さん» 本当によく見てらっしゃる…ありがとうございます。 (2019年9月11日 0時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話にも同じ誤字がありました。「児島」ではなく、「児嶋」です。複数箇所あります。 (2019年9月11日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 前に戻りますが、58話に誤字がありました。「児島さん」ではなく、「児嶋さん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 88話に誤字がありました。「聡一くん」ではなく、「総一くん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
あめり(プロフ) - 毎日密かに楽しみにしています...!()応援しています! (2019年9月5日 11時) (レス) id: 99ae7f7f0a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月18日 13時

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