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episode 73 ページ29







神谷さんの車に乗せられた私は、そのまま外に出てしまった神谷さんを助手席に座って待つ。

頭の中でさっきの映像がフラッシュバックされていて、組んでいる自分の手が震えているのが分かった。

しばらくすると神谷さんが戻ってきて、運転席に座ったかと思ったら、私に甘い味の缶コーヒーを渡す。


『……ありがとうございます。』

神谷「なんで危害加えられてた事黙ってたんですか。」

『え…?』

神谷「昔、暴力受けてたんですよね。」

『なんで、それを』

神谷「…念の為、佐伯の事を調べたら三年前に一度、葛西菜穂という女性に暴行罪で訴えられてました。」


葛西菜穂という名前は、どこかで聞いた事あると思ったけれど、その女性の正体はすぐに思い出した。

私の後に遼ちゃんが付き合った女性だ。

…あの人にも暴力振るってたんだ。


神谷「この人に暴力を振るってて、あなたに一切暴力を振るっていなかったなんて考えられないです。」

『…ごめんなさい、嘘ついて。』

神谷「…なんで黙ってたんですか?」

『……神谷さんにかっこ悪い姿を見せたくなくて。元カレに暴力振るわれてたなんて、ダサいじゃないですか。』

神谷「………。」

『…そんな事、自分でも思い出したくなくて。』


別れ話をされた時。最後に殴られたみぞおちと、頬、そしてガっと掴まれた右腕がじんじんと痛む。

脳みそでは忘れようとしているのに、体は痛みを覚えてるらしく、痛みで涙が出そうになるのを必死に堪える。


神谷「…二階堂さんは、かっこ悪くないです。」

『え……?』

神谷「こんな状況でも、俺に心配かけないように笑いかけてくれているあなたはかっこ悪くなんてないです。」

『…………。』

神谷「…だけど少しくらい俺の事頼ってくださいよ。」

『…神谷さん……。』

神谷「……泣いてください、今だけは我慢せずに。」


その神谷さんの一言で、私の中で何かが壊れた。

気が付いたら目から涙がボロボロ溢れてきて、必死に止めようとしても止められなくなっていた。

神谷さんはそんな私の背中をさすってくれていて、もうなんだか色々と我慢できなくなってしまった。

多分、ここ最近で一番涙を流している。

前にあの人から殴られた場所の痛みが涙と一緒に流れていく。

神谷さんはそんな私を静かに抱き締めてくれた。

私はこんな時でも誰かにすがりたくて、抱き締めてくれている神谷さんの背中に必死に腕を回した。

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花火2016(プロフ) - 明里香さん» 本当によく見てらっしゃる…ありがとうございます。 (2019年9月11日 0時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話にも同じ誤字がありました。「児島」ではなく、「児嶋」です。複数箇所あります。 (2019年9月11日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 前に戻りますが、58話に誤字がありました。「児島さん」ではなく、「児嶋さん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 88話に誤字がありました。「聡一くん」ではなく、「総一くん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
あめり(プロフ) - 毎日密かに楽しみにしています...!()応援しています! (2019年9月5日 11時) (レス) id: 99ae7f7f0a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月18日 13時

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