episode 62 ページ18
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神谷「ストーカー?」
『うーん…ストーカー、なんですかね。』
神谷「いつから付きまとってきたんでしたっけ?」
『…約一ヶ月前から。』
神谷「そういうのはストーカーって言うんですよ。」
『……ですよね。』
先程、くだらない嘘を神谷さんに付かせてしまったお詫びとお礼で、こないだの喫茶店にご馳走しに来ている。
遼ちゃんの事をとりあえず相談しておくと、メモを取られて完全に事情聴取を受けているような気分だった。
…確かにあれはストーカーだな。
神谷「現在も、過去にもなにか直接危害などは加えられてませんか?例えば、DVなどの暴力とかは。」
『いえ、全く。』
神谷「…良かった。」
『…え?』
神谷「え?…あぁ、いえ、何も。」
神谷さんが、私の事を少しでも心配してくれてるのかと思うと、なんだか少しだけ嬉しくなってしまう。
それを顔に出さないように必死になっていた。
その時、とある過去のニュースが頭をよぎる。
よりを戻そうと元カノの後を付けていた男が、最終的には元カノを殺害して懲役刑になったという事件だ。
そんな事を考えてしまったからか、嬉しさが顔に出るか出ないか以前にサーッと血の気が引いてしまった。
『…もし、またあの人に会ったら、適当に話を合わせてくれませんか…?付き合ってる、とかでもいいので。』
神谷「…良いですよ。」
『……すいません、嘘に付き合わせてしまって。』
神谷「…俺は別に。」
『…今日は奢るんで、好きなの食べてください。』
神谷さんにそういうと、神谷さんは「ありがとうございます。」と言い、メニューを開いて選び始めた。
そして
神谷「……フレンチトーストください。」
オシャレか。
嘘に付き合わせている身が何を言うか、と思われるかもしれないけれど、この喫茶店でフレンチトーストって。
うん、オシャレか。
神谷さんは絶対に表情すら変えないけれど、少しだけ楽しみなようで、ウズウズしてるのが分かる。
なんか、第一印象はクールで怖そうな人、という印象だったけれど、意外と可愛い一面もあるのかもしれない。
そう考えるとまた表情に出そうになってしまうので、ストーカー男の事件を思い出し、血の気を引かせる。
「フレンチトーストです。」
そう言って出された見るからに分かる美味しいフレンチトーストを目の前に、神谷さんの目が輝いたような気がしたのだけど、多分気のせいだろう。
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花火2016(プロフ) - 明里香さん» 本当によく見てらっしゃる…ありがとうございます。 (2019年9月11日 0時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話にも同じ誤字がありました。「児島」ではなく、「児嶋」です。複数箇所あります。 (2019年9月11日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 前に戻りますが、58話に誤字がありました。「児島さん」ではなく、「児嶋さん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 88話に誤字がありました。「聡一くん」ではなく、「総一くん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
あめり(プロフ) - 毎日密かに楽しみにしています...!()応援しています! (2019年9月5日 11時) (レス) id: 99ae7f7f0a (このIDを非表示/違反報告)
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