検索窓
今日:6 hit、昨日:19 hit、合計:471,133 hit

episode 62 ページ18







神谷「ストーカー?」

『うーん…ストーカー、なんですかね。』

神谷「いつから付きまとってきたんでしたっけ?」

『…約一ヶ月前から。』

神谷「そういうのはストーカーって言うんですよ。」

『……ですよね。』


先程、くだらない嘘を神谷さんに付かせてしまったお詫びとお礼で、こないだの喫茶店にご馳走しに来ている。

遼ちゃんの事をとりあえず相談しておくと、メモを取られて完全に事情聴取を受けているような気分だった。

…確かにあれはストーカーだな。


神谷「現在も、過去にもなにか直接危害などは加えられてませんか?例えば、DVなどの暴力とかは。」

『いえ、全く。』

神谷「…良かった。」

『…え?』

神谷「え?…あぁ、いえ、何も。」


神谷さんが、私の事を少しでも心配してくれてるのかと思うと、なんだか少しだけ嬉しくなってしまう。

それを顔に出さないように必死になっていた。

その時、とある過去のニュースが頭をよぎる。

よりを戻そうと元カノの後を付けていた男が、最終的には元カノを殺害して懲役刑になったという事件だ。

そんな事を考えてしまったからか、嬉しさが顔に出るか出ないか以前にサーッと血の気が引いてしまった。


『…もし、またあの人に会ったら、適当に話を合わせてくれませんか…?付き合ってる、とかでもいいので。』

神谷「…良いですよ。」

『……すいません、嘘に付き合わせてしまって。』

神谷「…俺は別に。」

『…今日は奢るんで、好きなの食べてください。』


神谷さんにそういうと、神谷さんは「ありがとうございます。」と言い、メニューを開いて選び始めた。

そして


神谷「……フレンチトーストください。」


オシャレか。

嘘に付き合わせている身が何を言うか、と思われるかもしれないけれど、この喫茶店でフレンチトーストって。

うん、オシャレか。

神谷さんは絶対に表情すら変えないけれど、少しだけ楽しみなようで、ウズウズしてるのが分かる。

なんか、第一印象はクールで怖そうな人、という印象だったけれど、意外と可愛い一面もあるのかもしれない。

そう考えるとまた表情に出そうになってしまうので、ストーカー男の事件を思い出し、血の気を引かせる。


「フレンチトーストです。」


そう言って出された見るからに分かる美味しいフレンチトーストを目の前に、神谷さんの目が輝いたような気がしたのだけど、多分気のせいだろう。

episode 63→←episode 61



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (342 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
842人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花火2016(プロフ) - 明里香さん» 本当によく見てらっしゃる…ありがとうございます。 (2019年9月11日 0時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 82話にも同じ誤字がありました。「児島」ではなく、「児嶋」です。複数箇所あります。 (2019年9月11日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 前に戻りますが、58話に誤字がありました。「児島さん」ではなく、「児嶋さん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 88話に誤字がありました。「聡一くん」ではなく、「総一くん」です。 (2019年9月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
あめり(プロフ) - 毎日密かに楽しみにしています...!()応援しています! (2019年9月5日 11時) (レス) id: 99ae7f7f0a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花火2016 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月18日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。