喧嘩ができないスケバンちゃん。６！【今日から俺は！】

第３４話！ ページ39

猛くんの首を思いっきり掴んだり

猛くんの腕を揉んでどこが痛いのか確かめたり

まとめて言っちゃえば、猛くんと遊ぼうのコーナーじゃなくて

猛くんで遊ぼうコーナーをしていた時だった。

家の電話が鳴った。

お父さんかな。

『ちょっと出るね。』

相良「おう。」

猛くんの元を離れ、電話に出る。

『はい、鳴滝です。』

「俺だ。」

その低い声の人は、俺だ。と私に言う。

だけど、俺だ。で伝わるほど私は察しが良くない。

『だ、誰ですか？』

「俺だ。」

『お、俺だ俺だ詐欺ですか？』

そんな馬鹿な事を言った私に、痺れを切らしたように電話の主は名乗る。


その電話の向こうに居る人は、私と猛くんが今、1番会いたい人だった。


「...片桐智司。」


『...えぇっ！！？』

まさか、智司さんから電話が来るとは思っていなかった。

驚いて受話器をぶん投げそうになる衝動を抑え、思わず変な声を出してしまった。

そんな私を見て、猛くんは心配そうに言う。

相良「...大丈夫か？」

『あ、うん、あの、あ、青森。青森に住んでる親戚だから。大丈夫。』

青森に親戚なんていないし。

何故青森って言ったのかも分からない。

心配そうに見てくる猛くんにニッコリと笑いかけ、私は受話器に話し掛けた。

『ど、どうしたんですか。そちらから電話なんて珍しいですね。』

片桐「いや、相良、大丈夫かと思って。」

ですよね。

あんないい意味で過保護みたいな感じだった智司さんは、相良さんを心配するに決まってる。

『い、今、お客さん来てるんです。』

私が猛くんが来ている、というのをオブラートに包んでそう言うと

片桐「あぁ。」

と察してくれたようだった。

『な、なら、今度にしましょうか。あ、また折り返しましょうか？』

片桐「...明日の放課後、学校が終わったら前に行ったファミレスに来てくれ。」

前に行ったファミレス。

広瀬さん事件の時、智司さんが私と話をしに行ったファミレスの事だ。

『...分かりました。』

片桐「じゃあ、また明日。」

『はい、失礼します。』

それだけ言って、智司さんからの電話を切った。


本当は、もっと話したい事沢山あったのだが、それは明日話す事にしよう。


相良「だ、大丈夫か？」

猛くんが、また心配そうに聞いてきてくれた。

まさか智司さんから電話があった、なんて言えないので、青森なんて嘘をついてしまった。

『うん。なんか、明日来るみたい。』

相良「急な親戚だな。」

本当に、急な人だな。

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