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『……あとから聞いたんですけど、……真由子のお母様が、マスコミに「ありもしない事を言わないでほしい」って、注意喚起してくださってたみたいで。』
満島「……そうだったんだ、」
『……そのお母様ね、……娘が死んでるのに、その場に居合わせた私の手を握って言ってくれたんです。「真由子の事は気にしなくていいからね」って。……その心遣いが、すごく温かくて。』
木村「……。」
『……桐沢さん、分かります?』
木村「……少し。」
満島「えっ……?」
『……言われた時、心の中に靄が掛かったんです。……真由子が亡くなったのを、自分の中で「気にしなくていい事」にする事に違和感が生まれて。』
木村「…………。」
『……「気にしなくていい」=「自分の中で真由子の死を終わらせてもいい」……みたいに聞こえてしまって。……だったら、「あんたが娘を殺したんだ、この人殺し」って騒ぎ立ててくれる方がよっぽどスッキリしたなぁって。』
満島「……それって、」
『……はい、罪悪感から来てます。』
富田「……そうだったんだね、」
『……その、罪悪感からなんでしょうね、……私、水が駄目になっちゃって。……言うなれば……「極度の水恐怖症」みたいな。』
満島「えっ……、」
『……プールはもちろん、湯船とか海とか……。水溜まりに足を踏み入れるのも躊躇してしまうくらい、駄目になって……。……真由子の死、というのが、競泳を辞めた大きな理由ですけど……辞めたきっかけは、その……水恐怖症で。』
木村「……じゃあ、あれから一度も?」
『……はい、泳げてません。』
木村「……そうなんすか、」
『……それから、両親は私の「瀬名ちゃん」っていう愛称を変える為に、わざわざ偽装離婚した上で結婚生活を送ってくれて……。真由子と通ってた松葉台高校も転校させてくれました。……送り迎えの時にね、聞かれるんです。……「今日は楽しい事あった?」って。』
木村「……それは、辛いっすね。」
満島「……えっ、」
『はい。……心遣いは嬉しかったんですけど……、その度に思うんです。「真由子を助けられなかった私が、人生を楽しんでいい訳がない」って。……それも、罪悪感と責任感から来てるけど、その考え方は今も変わってません。』
満島「……っ、」
『……だから、特にその想いが強かったその時……自分の真由子への想いと、周りの心遣いの歯車がズレてしまってて……。正直、生きづらかったです。』
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花火2016(プロフ) - ねるさん» わざわざコメントありがとうございます…!私の作品と似ている!と指摘してくださったって事は、私の作品見てくださってるって事ですもんね…!(嬉しい)親切にご指摘いただき、解決することが出来ました!むしろ感謝しかないです!笑 ありがとうございました! (2022年5月4日 2時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - この作品と似てるって他の作品にコメントしたものです🙇♀️ 余計なことをしてしまったみたいですみませんでした😢💦 (2022年5月3日 19時) (レス) id: c635e2ed44 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴー(プロフ) - ありがとうございます!! (2022年5月3日 9時) (レス) id: e18cd32993 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ゆっぴーさん» もちろんです! (2022年5月3日 9時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴー(プロフ) - 作者様が優しい方で良かったです、このまま書き続けてもいいですか? (2022年5月3日 7時) (レス) id: e18cd32993 (このIDを非表示/違反報告)
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