壇ノ浦で舞った男 ページ21
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佐藤「これは、船を出すのは無理だなぁ……、」
中川「この嵐で無理に船を出せば、無駄に多くの兵を失いかねない。……今は待つしかありますまい。」
佐藤「本隊長、いかがでござりましょうか。一度京に戻るというのは、」
菅田「何を言っている!京へは戻らん!!」
中村「今のうちに、やってみたい事がござる。」
『やってみたい事、と言うのは?』
中村「船というものは、馬と違って、急に向きを変える事が出来ない。……そこで例えば、櫓を船の舳先にも付けるというのは。」
中川「なるほど……さすれば、わざわざぐるりと回りこまずとも、逆に進めるという訳ですね。」
佐藤「……考えましたな。」
菅田「っ、馬鹿じゃないか!!逃げる為の道具などなぜ考える!!」
中村「前に進む事しかできない者を"猪武者"と申す!!」
菅田「行ったり来たりの鶏武者よりマシだ!!」
中村「……っ、」
『辞めましょう。』
菅田「……決めた。……今夜、出陣する!!」
中川「土地の船乗りたちも船を出すのを渋っているくらいです。」
佐藤「無理でしょうなぁ、これは……。」
菅田「……っ、坂東武者は腰抜けばかりだ!!」
佐藤「……大将とて、あの態度はいかがなものか。」
『……申し訳ない。』
中川「別に八千代は悪くないだろう、」
『……あの猛獣を飼い慣らせていないのは事実だ。……少し説得してみるが、あまり期待はしないでくれ。……御免。』
佐藤「……何故、あのような賢い女子が九郎殿に……。」
中川「……賢いから、九郎殿に着いていくのではないでしょうかね。」
中村「……。」
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菅田「……、なんだ、お前が説得しに来たか。」
『説得したとて、あなたは止まらないでしょう。』
菅田「……いま船を出せば、三日かかる所を風に乗って半日で阿波に着く。……多少危険ではあるが、……危険でない戦なんてあるか?」
『ありませんね。』
菅田「……皆に迷惑はかけない。……俺達だけで向かう。」
『……出る為の準備をしてまいります。』
菅田「やはり、私の事を一番分かるのは……お前だ。……八千代。」
『……、今更お気づきになられたなら、遅すぎますね。』
菅田「っ、……はははっ、……相変わらず生意気だなぁ、」
『これ以上の褒め言葉はございませんね。……では。』
菅田「頼んだぞ。」
─ 義経は五槽の船で海を渡り、平家軍に奇襲をかける ─
─ 不意をつかれた平家軍は、屋島を捨て、長門の彦島に落ち延びていく ─
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花火2016(プロフ) - ねるさん» わざわざコメントありがとうございます…!私の作品と似ている!と指摘してくださったって事は、私の作品見てくださってるって事ですもんね…!(嬉しい)親切にご指摘いただき、解決することが出来ました!むしろ感謝しかないです!笑 ありがとうございました! (2022年5月4日 2時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - この作品と似てるって他の作品にコメントしたものです🙇♀️ 余計なことをしてしまったみたいですみませんでした😢💦 (2022年5月3日 19時) (レス) id: c635e2ed44 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴー(プロフ) - ありがとうございます!! (2022年5月3日 9時) (レス) id: e18cd32993 (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - ゆっぴーさん» もちろんです! (2022年5月3日 9時) (レス) id: 0f7e1e76f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴー(プロフ) - 作者様が優しい方で良かったです、このまま書き続けてもいいですか? (2022年5月3日 7時) (レス) id: e18cd32993 (このIDを非表示/違反報告)
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