【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

239.誰も脱げなんて言ってない ページ39

『…いい、ですけど。あの、何か怒ってます？』


答えが返ってこない代わりに笑顔を浮かべたまま一歩一歩近づいてくるこれは何のホラゲーだ？

無言の圧力とでも言うのだろうか、
私は座ったまま後ろに下がろうとしたのだがソファがあることを完全に忘れていた
膝を抱えたままソファに押し付けるように背中をつけ、出口は目の前の人物の向こうしかも施錠済みだ


ただ賄いを運びに来ただけなのに予定外のホラー状況にメンタルチワワになりそう


(え、なに。こっわ、イケメンの目笑ってない笑顔こっわ(?)



……あ)





『…す、ストップで、お願いします』




ジェイド「？」

『…あの、本当にごめんなさい。私その香水の匂い本当にダメみたいで』


再びあの花の匂い

食事中ではないので先ほどよりいくらかマシだが、根本的に受け付けないらしい
少し学んだので今はちゃんと断りを挟んでお願いした


ジェイド「…あぁ、そうでしたね」

『はい…。…？、あの




…ジェイド、さん？』



口を手で覆い視線を下に落としたところで、黒いジャケットがストールを重ねたまま形を崩して床に落ちてきた
何でジャケットが…？と疑問に思い目線を上に戻す


『…


なに、してるんです？』



ジェイド「…あぁ、お気になさらず」


彼はそう言うと、まず解いたタイを空中に放ってジャケット同様床に落とした

次にサスペンダーを両側下ろすと、ワイシャツの裾を出して襟元まで閉めたボタンを上から順に解いていく

目は完全に私を捉えているがその行動に一切の躊躇いの色はなく、いつの間にか表情から笑顔が失せていることに気づいた

ただオッドアイの鋭い目がこちらを捉え、
対して私は床に座り込んだままその場を動けずにいる

あぁ、獲物になるとはこういう気持ちを味わうのだろうかと実に嫌な表現を身をもって体感している最中である

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