【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

220.ライオンの王子様 ページ20

そう言った彼の声は、言葉に合わず優しい音だった



どうして、なんで、これは止まってくれないんだろう



ユウくんにあんな顔をさせたかったわけじゃない


本当は髪だって、


けど私が傷つくのはきっと違うから


自分を責めても何も起こらない、笑顔を作るたびに何かが減っていく気がして
でもどうしたらいいのか分からなくて

同じところでずっと止まって動けない

頭では分かっているふりをして、まるで小さい子供みたいじゃないか




(…あぁ、嫌だ嫌だ)




そしてよりによってのこの男

なんで私、この人に慰められてるんだろ



頭がそんな言葉達で埋め尽くされた時、頰に触れていた彼の指がピタリと止まった






『……？、レオナさ』







ｶﾌﾟｯ





『……え』




(…ほっぺ、噛まれた)



ビックリした
その場で涙が引っ込んで、目には熱だけがじんわりと残っている
けど前に噛まれた時とは違い歯が当たる程度、甘噛みにも満たないただの噛む「フリ」だ


キョトンと目をパチパチさせると、目が合い彼もまた呆れたような顔をしている



レオナ「…なんだ、泣き止んでんじゃねぇか」



『…慰め方下手くそか』

レオナ「…はあ？」


『…っ、あはは。…あー…そんなのありですか』



違う涙が出てきそうだ

女の扱いに関しては百戦練磨みたいな顔して、涙の止め方がこれかと思わず笑いがこみ上げてくる




レオナ「…おい」

『はい？まだ何か…』






ラギー「愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー!)」




『！、ラギーさん』



いつの間に戻ってきたんだろう、会話をしていたとは言え全く気がつかなかった
ドアの前にはラギーさんの姿がある


レオナ「…」

ラギー「ほら、もう外真っ暗っスよ〜。送ってくから、ほら！支度！早く！！」

『あ、はい。…えっと、ありがとうございました』


私はベッドから降りて、ブランケットをチェカくんにそっとかけた

あぁ、良かった。足の腫れも治まったようだ。
転がった靴を拾い上げて私は服装を正した



レオナ「…おい」

『はい？』

レオナ「髪(ソレ)、次勝手に切ったら分かってるな」


『…そんな凄んで言われんでも、もー切りませんから





バイバイ、レオナさん。おやすみなさい』




レオナ「あぁ」



彼はそう素っ気なく答えると、再びベッドに横たわり目を閉じた

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