後輩に懐かれて困ってます。３【漆黒】

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「それはっ…紫耀が元気なくて…心配で…」


廉「心配って事はまだ好きなんやろ？」


「好きとかじゃなくて…」


廉「じゃあ名字さんは好きでもない男家にあげて飯作ったりするん？しかも元カレやで？」


「ごめん…でも本当に気持ちはないの…」



廉「あいつが名字さん好きなんわかっとるのに家にあげるとかないわ、ほんま。ごめんやけど名字さんの言うとる事俺にはわからへん」



「永瀬くんっ…」



背を向けたまま歩きだそうとする永瀬くんを
引き止めようと腕を掴んだけど
私の手に自分の手を重ね
そっと腕から手を離される。


いっその事強く振り払ってくれればいいのに
優しさが余計に痛い。



廉「俺あと少しなら待つって言うたよね？もうタイムリミットやで」



「待ってっ…もう少しだけ」



廉「俺が無理やからさ、もうしんどい」



私を見下ろす目は冷たいけど
その奥は悲しさで揺れてるように見える



こんな表情を私がさせてしまったんだ
1番大切にしなきゃいけない人を悲しませて
中途半端な優しさ振りかざしていい人ぶって
結局紫耀の事も傷つけちゃうだけなのに



名字さんバイバイ


小さく囁かれた言葉を置いて去ってく細い背中
理解したくなくて受け入れたくなくて
それなのに小さかったはずのさよならは
私の中で大きく重くなって奥に突き刺さる



追いかけたいのに足が竦んで動けなくて
その場にしゃがみこんで膝を抱える


泣きたいけど我慢しなきゃ
まだ会社だもん


言い聞かせるけど溢れる涙は
自分じゃ止められないみたい



あの頃より大人になったはずなのに
紫耀と別れた時よりも
ずっとずっと痛くて悲しくて苦しくて
バイバイが耳にこびり付いて
堪えようとする私をチクチクと刺す

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