【ゲーム実況者】浅き夢見じ酔いもせず【短編集】

有明の　つれなく見えし　別れより　暁ばかり　憂きものはなし／あろまほっと／あずさ　リクエスト ページ28

一限目。朝っぱら体育ほど嫌なものはない。

しかもドッジボールなんて。




「……A！！危ない！！」




有明の つれなく見えし 別れより




体育館中にきゃーっという悲鳴が響く。



私はまだぐわんぐわんした頭のまま、床に座り込む。

足元にはボールが転がっている。


どうやら、ボールが当たってしまったらしい。




「A、大丈夫！？」

「Aちゃん大丈夫〜？」




えおえおとFBが心配そうに駆け寄ってくる。

女の子達も駆け寄って来てくれる。




「ごめんねえ……俺がボールキャッチできなかったせいで」

「大丈夫だよ、FB。気にしないで！」

「でも頭に当たったんでしょ。一応保健室行ったほうが……」




正直、まだ頭は殴られているかのように痛い。

高校生の男子のボールの威力がここまでとは思っていなかったな。


本当なら今すぐにでも保健室に行きたいけど。

みんなに心配かけたくないし……！！




「お前ら邪魔」




わらわらと私を囲む人達の奥から、聞き慣れた声。

私は視線をそらす。その相手が誰か知っているから。




「俺が保健室連れてくから、どけ」

「あろま、そういう言い方よくないでしょ！」

「は？じゃあお前らなんでここにいんの？」




ぷんぷんと怒るFBを論破して、あろまは私の腕を引っ張って立たせる。

あろまはなんだかんだ正義感があるから、怒ってるんだろう。



あろまに連れられ、保健室にやってくる。

先生はいない。




「チッ……こういうときに限って先生いねえのかよ」




ま、いいわとあろまは慣れた手付きで冷蔵庫を開ける。

あろま、確か保健委員会だっけ。とふと思い出す。




「とりあえず冷やせば」

「……どうも」

「そんな頭痛いならさっさと保健室行けばいいのに」




あろまは私と向かい合うように座る。




「はあ……」




ため息をついたかと思うと、あろまは私の頭に手を伸ばす。




「いたいのいたいのとんでけ、なんて」




きゅう、っと心臓が縮む。


私はふいっと頭を振ってあろまの手を払う。

そんな私をあろまはケラケラと笑う。




「ほんとお前って馬鹿」




うるさい。……うるさいうるさい。だって、しょうがないじゃん。

これ以上、優しくなんてしないでよ。




＿＿元彼となんて、気まずくなるに決まってるじゃん。




暁ばかり 憂きものはなし








￣￣
あろまの口調って難しいよな……。

FBの口調は簡単。だってFBって超可愛くない？？


リクエストありがとうございます！！！

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