【ゲーム実況者】浅き夢見じ酔いもせず【短編集】

さびしさに　宿を立ち出でて　ながむれば　いづこも同じ　秋の夕暮れ／きっくん／煮紬都　リクエスト ページ3

一人暮らしって楽しいけど、たまに寂しくなる。

例えば風邪をひいたとき。そして、秋の夕暮れ。




さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば




秋って、寒くて暑くて中途半端。

乙女心っていうくらいだし、まあ当然なんだけど。


秋は私の心を掻き乱してくる。だから、嫌い。



いつもなら寂しくない毎日も、寂しく感じてしまう。

この狭い家が無駄に広く感じて、外に出てしまう。




外に出たってなにも変わらないんだけど。




外の方が枯れた木ばかりで、みんな寒そうで。

吐いた息には白いものが混じってて、どうも虚しい。




「あれー！？Aー！？！」




その中でくそほど元気なのが、こいつ。

高身長ハイスペックイケメン男(笑)きっくん。


きっくんは嬉しそうに微笑んで、ぶんぶんと手を振ってくる。

あー、家から出なきゃよかったかもしれない。




「よかった！今から家に行こうと思ってたんだ」

「え、なにか用事でもあったの？」




きっくんはにっと笑う。


この眩しすぎる笑顔を見ると陰鬱になる。

私にこの笑顔は眩しすぎるんだよなあ……。




「んっふふ、じゃーん！これ見てー！！」

「うおおおお！？なにこの紅茶セット！！」




きっくんが紙袋から出したのは、紅茶セット。

しかもちょっと有名なブランドの紅茶セット。


実は私紅茶めちゃくちゃ好きなんです……家出てよかった。

秋最高。きっくんまじで愛してる。




「これね、前見つけて買ってきたの」

「わざわざ！？うそ、高かったでしょ」

「んー、でもAが喜んでくれるかなって」




なにこの光属性。




「ま、ほんとは一緒にお茶できないかなっていう下心だけどね！」

「もおおおおなに？きっくん天使？うち来る？アルフォートあるよ」

「いいの！？行く！！！ってか俺堕天使だからね」




それじゃあ行こー！！ときっくんは私の手を握る。

きっくんの手は少しだけ冷たかった。




一人暮らしって楽しいけど、たまに寂しくなる。

例えば風邪をひいたとき。そして、秋の夕暮れ。


でも、最近はあまり寂しくない。




「A、どの紅茶飲むー！？」




きっくんが側にいてくれるから。




いづこも同じ 秋の夕暮れ









￣￣
煮紬都さん！！名前なんて読むんだろう！！

わざわざコメントありがとう。実はコメントとか死ぬほど嬉しい。


リクエストありがとうございます！！！

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