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10話 ページ10

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『そ、それでっ! 匂いってどういうこと!?』
「あ、あぁ」


半ば無理矢理話題を変えると、炭治郎もちゃんと話してくれるようになったのか赤い顔を涼ませ真剣な顔になる。


えっ、そんなに不穏な空気さらけ出してどうしたの……段々と不安になっていく私に、追い討ちをかけるように炭治郎は、あの人の名前を言った。



「……煉獄先生、」
『ッ!』


ドクン、と心臓がうるさく脈を打つのが分かった。
まって、なんでその言葉を今言ったの。


必死に焦った顔を元に戻そうとしていると、さらに彼は言葉を続ける。



「と、何かあったのか……?」
『…なんで、そう思ったの?』
「いや、何というか…Aに、煉獄先生の匂いがべったりとついていて、しかも、煉獄先生を見てる時のAの匂いが、危ない感じだったんだ」



ほんとにその鼻はチートだよ、たんじろー。

ってか、煉獄先生の匂いがべったりって、何それ心底嫌なんですけど。

今度は本当に露骨に嫌悪の顔を晒した私に、炭治郎は驚く事なく言葉を紡ぐ。



「A、A。お前が煉獄先生との間に何があったのかはいまはまだ聞かない」
『!』


彼の優しすぎる性格故か、そう気遣ってくれるだけで私の心は幾分か軽くなる。


「だけど、本当に危険になった時、俺の名前を呼んでくれ。直ぐに駆けつけてどんな奴からも絶対にAを守るから」


ふわり、と何処からか風が舞った。炭治郎の言葉に、思わず目を見開く。


それから口元を緩ませて、ふっと声を出す。
何かっこいい事言ってんだ。まるで、プロポーズのような言葉にこんなに安心するだなんて。


ただのまじない、だとしても今の私には十分すぎるほどの味方ができた。



『ふふっ、うん。ありがとう、炭治郎。
絶対名前を呼ぶから、助けに来てね』
「あぁ、任せてくれ!」


そう言って、私は教室を出た。




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『ごめんなさい、煉獄先生! 待ちましたか?』
「いや、俺も今来たところだ。それで? 質問したいところというのは…」


昨日と同じ頃の時間、昨日と同じ場所。唯一違うのは、彼はまだ人の皮を被っていて口元に血がついていないくらい。


自身の付いた手形を今一度見てから、ふっと微笑んだ。



ーーーーーさて、戦争だ。


『単刀直入に言います。
煉獄先生。昨日の事、説明してくれますよね?』


私の見据える先にいるのは不敵な笑みを浮かべる彼だけ。さぁ、その真実をーーーーー






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アオ猫又(プロフ) - 獪岳が好きなんでこの作品がめっちゃ好きです!ありがとう、作者様…。 (2022年1月1日 21時) (レス) @page33 id: 6f2bf6bdd1 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - いつも楽しみにして見させてもらってます!失礼ですが、42話のしのぶさんの台詞の「あっ、そろそろ〇〇さんの番ですね。....」の番が版になっていました。詳しく書けたか分かりませんが、大丈夫でしたでしょうか?あと、更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 1ef7d533ea (このIDを非表示/違反報告)
るる - 予告とかの文才がありすぎてヤバいです(←文才力0の人) 更新頑張ってください! (2020年4月17日 12時) (レス) id: 9d2e256c74 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の中の棒人間(プロフ) - みっくす14。さん» コメントありがとうございます。誤字指摘有り難いです......!おこがましいかもしれませんが詳しいページを教えてくださると助かります!(無能で申し訳ないです)。 (2020年1月4日 22時) (レス) id: 46f50694f0 (このIDを非表示/違反報告)
みっくす14。 - いつも見させてもらってます!!でもちょーっと直してもらいたいところがあるんですよね。沢山誤字っております。(..)出会いの方ですかね? (2020年1月4日 1時) (レス) id: ebaa9545e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐の中の棒人間 | 作成日時:2019年12月26日 22時

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