45話【獪岳との出会い】 弐 ページ45
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「じ、じっちゃん! この子どちらさん!?!」
「儂の知り合いの家の子じゃ。お前より一つ年下だぞ。……獪岳とは知り合いだったな」
「!」
獪岳、の名前を聞いた途端興奮していた動きを止めた彼。
名前は知らない。けれど、その唸るような雷色とその瞳だけはよく覚えていた。
ーーーーー思えば、善逸との初対面はこれが初めてだったかもしれない。
そして、何を思ったのか私は仲が良いわけでもない獪岳を探しに行くと、言っていた。
『よかったら、わたしさがしにいこうか?』
「! ……そうじゃな。儂が行ったとしても無意味なら、A。お主に任せてみても良いか?」
『うん! まかせて!!』
頼られることが嬉しくて、思わず胸を張った。
そんなわたしに微笑みを一つこぼしたじっちゃんは、夕飯はこちらで用意しよう。と言った。
『ほんとっ!? ならあの人すぐ連れてくるね!!』
じっちゃん家のご飯は格別に美味しい。それを久し振りに食べれる、と興奮した私は考えもなしに行ってきまーす!と駆け出して行った。
いやぁ、ほんとに、若い頃しかできないことだよね。…まだ高校生ですけど。
『うーん、どこにいるんだろ』
キョロキョロと小さい体で見渡すが、全然見当たらない。そりゃあ、そうだ。男女の差、しかも小学生と中学生。
走れる距離はかなりの差がある。
だが、ここで私の野生的勘がものすごい有能ぶりを発揮した。
ここは左行って、次は右!次は〜と行ったら、何とお目当ての彼をすんなり見つけてしまった。
『! いた!! かいがく君!』
「はっ、おまえ…何で、ここにきた」
『じっちゃんが美味しーご飯作って待ってくれてるって! もーすぐ夜になっちゃうよ。ほら、はやくかえろ?』
私は、手を差し伸ばしそう言うが彼はその手を弾いて舌打ちをする。
「ハッ、どうせそのご飯は俺の為のご飯じゃねぇ。そんな反吐の出るもん誰が食うかよ」
自傷と挑発を混ぜ合わせたような笑みをこぼした獪岳だが、その言葉の真意が伝わらなかった馬鹿な私は、彼はお腹が空いて苛ついているのか、と解釈する。
『待ってね! えーと、たしか買ったよね…』
ガサガサと買い物袋の中に手を突っ込んで先程買ったアレを探す。ひやり、と冷たい冷気を感じ、それを掴む。
『あった! はい、これ! 私が一番好きなアイスあげる!』
「は?」
にこり、と微笑む私に呆然とする獪岳。
予想外過ぎた言葉だったのだろう。
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アオ猫又(プロフ) - 獪岳が好きなんでこの作品がめっちゃ好きです!ありがとう、作者様…。 (2022年1月1日 21時) (レス) @page33 id: 6f2bf6bdd1 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - いつも楽しみにして見させてもらってます!失礼ですが、42話のしのぶさんの台詞の「あっ、そろそろ〇〇さんの番ですね。....」の番が版になっていました。詳しく書けたか分かりませんが、大丈夫でしたでしょうか?あと、更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 1ef7d533ea (このIDを非表示/違反報告)
るる - 予告とかの文才がありすぎてヤバいです(←文才力0の人) 更新頑張ってください! (2020年4月17日 12時) (レス) id: 9d2e256c74 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の中の棒人間(プロフ) - みっくす14。さん» コメントありがとうございます。誤字指摘有り難いです......!おこがましいかもしれませんが詳しいページを教えてくださると助かります!(無能で申し訳ないです)。 (2020年1月4日 22時) (レス) id: 46f50694f0 (このIDを非表示/違反報告)
みっくす14。 - いつも見させてもらってます!!でもちょーっと直してもらいたいところがあるんですよね。沢山誤字っております。(..)出会いの方ですかね? (2020年1月4日 1時) (レス) id: ebaa9545e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐の中の棒人間 | 作成日時:2019年12月26日 22時