【鬼滅の刃】学園に吸血鬼がいるなんて聞いてない。

３８話 ページ38

.(獪岳side)



俺の腕の中ですやすやと眠る女は、心底馬鹿な性格だと思う。


今さっき襲われたばかりの男に、何寝顔を見せているんだ。

俺が眠れ、と誘導したにせよ多少なり抗うだろうと思っていたにもかかわらずそれもせず数秒で意識を飛ばしたこいつの脳みそはお花畑だ。



「……憎いな」


この白い肌に映えるように付けられたこの吸血跡(マーキング)が。
これを付けた吸血鬼に、心底殺気を覚える。


吸血された事によって、さらにこいつの血が濃くなったのもわかったし、吸血跡の持ち主の匂いも、染み付いているのがなんとも気に食わない。


ほんとは時間をかけて俺に縋るようにしていきたかった。
こいつを狙ってくる吸血鬼共を蹴散らし、嬲り、殺せばこいつは満足するだろうか。


俺一人だけを、必要としてくれるだろうか。



俺の性格を根本から変えたのは、こいつだった。中坊の頃はこの世界が憎くて憎くて、先生にもあのカスにも不満しかなかった。


なんで俺を見てくれない、なんでありのままの俺を見ようとしない？

それを、その世界から、救ってくれたのはこいつだったんだ。


腕に伝わる程よい体温の熱が心地良くて愛しくて。



叶う事なら、何処か二人で逃げ出して、こいつが他の吸血鬼に合わないように監 禁して鎖を付けて従順な愛の奴 隷にしたい。


そんな想いとともに、俺は彼女を見つめていた。









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吸血鬼と人間の愛情表現は違う。そのすれ違いにさえ気付かない彼等に、果たして真実の愛というものはつかめるのか。
はたまた、その歪みきった愛が真実の愛なのか。


彼等の向けてくる歪んだ愛情に、少女はまだ気付かない。






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