37話 ページ37
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「あ "ぁ"、血飲みてぇ」
『ひぇっ…さっき血要らない的な事言ってなかった?』
「今飲みたくなった」
なんだそれ!!!!!このクソ野郎が!私の気持ちも考えてみやがれ!と叫ぶと彼はドスの効かせた声をだした。
「血飲まれたかったんなら早く言えよ」
『いやっあのすみませそういう意味で言ったんじゃ!!!!』
ぐるん、とそのままソファを床にし、私の上に跨った獪岳はいつもの挑発顔で佇んでいる。
痛くはしねぇよ。と嗤う彼に苛立ちと、少しの恐怖。
『ほんっ、とに、わたし血飲まれんの嫌なのっ…!』
「……」
喋んな、うるせぇ。とも何も言わない無言の彼が、怖い。
どんどん獪岳の顔が近づいてきて、そのまま首元に行かれる!と思ったらどうやら予想外にも私の手を取る。
「少しだけ、我慢してろ」
『っ! うぅっ……!!』
カプリ、と可愛らしい音とはかけ離れた痛さが襲いそのまま血を吸われる感覚がくる。
指先一つに痛さが集中するため、痛さも増した。生理的な涙が溢れそうになるが、その涙は彼の舌によって掬い取られた。
『ハッ、うあっ…!』
「知ってるか? 人間の涙は血と同様なんだ。
……お前の血は特番なんだな。これ以上喰らうとまじでやばそうだからこの辺で勘弁しといてやる」
ふわり、と頭に手を乗せて、ぎこちない動きで私の頭を撫でる獪岳にどっと安心感がやってきた。
左手の人差し指から流れる血をカーペットに落としていき、涙は獪岳が拭いてくれる。
パニックに陥った頭ではその機能が動かないらしく、麻痺した脳で考える。
こんな、こんなんまるで
「俺に介護されてるみたいだなァ、A」
考えていることまでお見通しなのか。
満足に満ち満ちた顔の獪岳は愛おしそうに私を包み込むと、今は眠れ。と囁いた。
出血は少量にせよ、涙を流しすぎて疲れた。
このまま眠ってしまいたい。けれどここで眠ってしまったらもっと酷いことをされるかもしれない。
そんな私の警戒とは裏腹に、私の意識は放り投げ出された。
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アオ猫又(プロフ) - 獪岳が好きなんでこの作品がめっちゃ好きです!ありがとう、作者様…。 (2022年1月1日 21時) (レス) @page33 id: 6f2bf6bdd1 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - いつも楽しみにして見させてもらってます!失礼ですが、42話のしのぶさんの台詞の「あっ、そろそろ〇〇さんの番ですね。....」の番が版になっていました。詳しく書けたか分かりませんが、大丈夫でしたでしょうか?あと、更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 1ef7d533ea (このIDを非表示/違反報告)
るる - 予告とかの文才がありすぎてヤバいです(←文才力0の人) 更新頑張ってください! (2020年4月17日 12時) (レス) id: 9d2e256c74 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の中の棒人間(プロフ) - みっくす14。さん» コメントありがとうございます。誤字指摘有り難いです......!おこがましいかもしれませんが詳しいページを教えてくださると助かります!(無能で申し訳ないです)。 (2020年1月4日 22時) (レス) id: 46f50694f0 (このIDを非表示/違反報告)
みっくす14。 - いつも見させてもらってます!!でもちょーっと直してもらいたいところがあるんですよね。沢山誤字っております。(..)出会いの方ですかね? (2020年1月4日 1時) (レス) id: ebaa9545e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐の中の棒人間 | 作成日時:2019年12月26日 22時