23話 ページ23
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あれから由良を抑えるのが大変だった…
なんか恋だとか愛だとか、モテる由良とは違って今まで彼氏がいなかった私には、恋も愛も到底理解出来ない。
それを言ったら由良にアンタ干物女ね、って呆れられたけど。
ハァ、と溜め込んだ息を吐いて廊下を渡る。
絶賛炭治郎探し隊だ。
『…昼休みもどこかに言っちゃってるんだよねぇ』
どこだよおおおお、と心の中で怒りが湧いている私の体に衝撃が走る。
『ふごっ!? いった!!!!』
「ふふっ相変わらず色気のない声だね」
『えっ、その声って…無一郎君!!!』
私の背中に突進してきた人物は、私と向かい合うとふわりと笑った。
うっわぁ久しぶりの無一郎君だ!と喜びを分かち合う私達に、新たな人物が喋りかけてきた。
「無一郎。Aを見たらすぐ突進する癖そろそろ直せよ」
「だって、久しぶりだったんだもん…」
無一郎君の双子の兄、有一郎だ。
彼の眉は日頃から釣り上がっているが、決して怒っているわけではない。
『(まぁその眉含めて可愛んだけどね、この兄弟は)』
しゅん、と項垂れる無一郎君を見て、昔に比べ随分と表情が豊かになった。と口元が緩む。
昔は、もう本当にぼんやりとしていて、言っては悪いが生きてるか死んでるかどちらか分からなかった。
心ここに在らず、という表現が正しいか。
まぁ、その笑顔も私や有一郎君、炭治郎もかな?
とにかく、特定の人物にしか感情は出さない。
耳に入った噂によると、「残酷な時透兄弟」などと言われている様だが、どこか残酷なのだろうか。
こんなにも可愛い二人なのに。
三人で久しぶりに楽しい話をし、不意に見た時計にぎょっとした。
えっあっまじか!私今炭治郎探してるのにこんな所で油売ってるところじゃ無かった!
もう少しで昼休みも終わっちゃう!!
『あ、ご、ごめんね二人とも! 私今人を探してて……また今度話そう!』
「もう行っちゃうの?」
『うっ…!』
なっんだその上目遣いっ!?
うぐっなにこれすんごい良心が痛む!有一郎君も、何も言わないけど少し寂しそうだし!!
うぬぬと唸る私に無一郎君はガバッ、と抱き着いてきた。首元に顔を埋め、ぐりぐりと頭を押し付ける。
ずきり、と煉獄先生に付けられた跡が痛んだ気がした。
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アオ猫又(プロフ) - 獪岳が好きなんでこの作品がめっちゃ好きです!ありがとう、作者様…。 (2022年1月1日 21時) (レス) @page33 id: 6f2bf6bdd1 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - いつも楽しみにして見させてもらってます!失礼ですが、42話のしのぶさんの台詞の「あっ、そろそろ〇〇さんの番ですね。....」の番が版になっていました。詳しく書けたか分かりませんが、大丈夫でしたでしょうか?あと、更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 1ef7d533ea (このIDを非表示/違反報告)
るる - 予告とかの文才がありすぎてヤバいです(←文才力0の人) 更新頑張ってください! (2020年4月17日 12時) (レス) id: 9d2e256c74 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の中の棒人間(プロフ) - みっくす14。さん» コメントありがとうございます。誤字指摘有り難いです......!おこがましいかもしれませんが詳しいページを教えてくださると助かります!(無能で申し訳ないです)。 (2020年1月4日 22時) (レス) id: 46f50694f0 (このIDを非表示/違反報告)
みっくす14。 - いつも見させてもらってます!!でもちょーっと直してもらいたいところがあるんですよね。沢山誤字っております。(..)出会いの方ですかね? (2020年1月4日 1時) (レス) id: ebaa9545e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐の中の棒人間 | 作成日時:2019年12月26日 22時