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12話 ページ12

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『な、なに?』
「は、はははっ!!」


未だに笑い続ける先生の目には若干涙が浮かんでいる。


いつもの完璧な紳士の様な笑顔では無く、思わず笑ってしまったという様な笑顔に、不覚にもどきりとした。


い、いや、だって先生の顔が整ってるからさ???誰でもイケメンの笑顔には弱いでしょ???????(必死)



「あー、久し振りにこんなに笑ったなぁ」
『な、何を、そんなに笑って?』


「いや、なに。そんなど直球に聞いて己が求める答えが返って来ると信じてやまない……それが愛らしく思えただけさ。若さ故に、だな」



すんっ、と彼の瞳から感情の色が無くなる。
昨日も見た慈悲のない瞳に、思わず後退りしそうになるのを気合いで耐えた。


愛らしい。一見聞こえはいいものの、私からしたらそれは皮肉だ。

質問をして素直に答えが返って来ると?と、煽られている気分だ。実際、彼もそんな気持ちで言っただろう。



「ふっ、しかも、こんな状況でまだ帰らないとはな。肝がいいのかどうしようもない馬鹿なのか」
『…! せんせ、いが答えてくれたら、直ぐに帰りますけどねッ』
「……ふむ、そうか。ならーーーーー」


あっ、来る。
と思った時には既に遅く、私は床に押し倒されていてその上から覆いかぶさる様に跨る先生。


いま、なにがおきた?


いつでも逃げれる準備はしてきたはずだ。それなのに、反射を含まずに言ったら何も反応ができなかった。


私の両手首をしっかりと持ち上げ、ボタンを外していく。その光景に、昨日の事がフラッシュバックされて震え始める体。



『ぁっ、ま、まって…! わ、わたしはただ、』
「一つ、お前の質問に答えてやろう」


わたしの首元に這わされた舌を離し、彼と見合う形になる。
太陽が入らないこの室内は薄暗く、きらきらと光るその瞳は妖艶で、不気味で。



「俺たちは吸血鬼。この下界の人間達から血を吸うもの。普段、そういう関係ではない奴等から血を貰うときは記憶を消すのだが、小倉少女には効かないらしい」


先ほど見せた異常な程の運動神経。記憶を消すという人外技。そして、その口元には光る牙。

案外、心の中では受け入れていたのかもしれない。
この、お伽話の様な彼を。



すっ、と先生の瞳から視線を外そうとしない私に、先生は薄く笑って
ーーーーーこれで心置きなく、血を吸えるな。




なんて悪魔の囁きをしたのだ。






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アオ猫又(プロフ) - 獪岳が好きなんでこの作品がめっちゃ好きです!ありがとう、作者様…。 (2022年1月1日 21時) (レス) @page33 id: 6f2bf6bdd1 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - いつも楽しみにして見させてもらってます!失礼ですが、42話のしのぶさんの台詞の「あっ、そろそろ〇〇さんの番ですね。....」の番が版になっていました。詳しく書けたか分かりませんが、大丈夫でしたでしょうか?あと、更新頑張ってください!応援してます! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 1ef7d533ea (このIDを非表示/違反報告)
るる - 予告とかの文才がありすぎてヤバいです(←文才力0の人) 更新頑張ってください! (2020年4月17日 12時) (レス) id: 9d2e256c74 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の中の棒人間(プロフ) - みっくす14。さん» コメントありがとうございます。誤字指摘有り難いです......!おこがましいかもしれませんが詳しいページを教えてくださると助かります!(無能で申し訳ないです)。 (2020年1月4日 22時) (レス) id: 46f50694f0 (このIDを非表示/違反報告)
みっくす14。 - いつも見させてもらってます!!でもちょーっと直してもらいたいところがあるんですよね。沢山誤字っております。(..)出会いの方ですかね? (2020年1月4日 1時) (レス) id: ebaa9545e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐の中の棒人間 | 作成日時:2019年12月26日 22時

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