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64話 ページ14

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ぐっ、と右手を伸ばして必死にバトンを渡そうとする。彼に、彼に。もっと早く、足を加速させろ。


『っ、いの、すけ……!!』
「任せろっ!」


最後の力と共に声も振り絞って、彼にパスをする。何とも頼もしい背中は一気に離れていく。

その場で脱力しそうになるのを何とかこらえて、目をグッと開く。今の伊之助の順位は2位、と言うことは私は二人抜いた………んだよね。


早い選手たちの中二人抜かせたのは良い方じゃないだろうか、しかもその一人は先程の先輩だし…………と、いけないいけない。


今は伊之助の応援だ。
1位との差は誰から見ても歴然としていて、抜かすのは厳しいだろう。けれど、私は知っている。


彼は本物の獣の様だと。


『ッ、いのすけぇー!!! いけぇ!!!!』


私の声を背に、伊之助はさらに加速した。確実に距離は縮まっている。然し、一位のチームのアンカーも負けじと加速する。


白熱した戦い、この場にはその言葉が一番似合う。疲れも忘れてただただ祈り、叫ぶ。
伊之助、いのすけ、がんばれ。
声が枯れても叫び続け、そして。


白テープが切れる。
それを切り、一番最初にゴールに辿り着いたのは。


「結果発表、映えある一位は………赤組です!」
その途端、ぶわぁっと熱が上がる。
赤組、あかぐみ、………あか、ぐみ……?


「やっっったぞ子分っ!!! 1位は俺様のもんだァ!!」
『いっ、ぁ………い、いのすけぇ!!!』
「はっ、? おっまえ泣いてんのか……??」
『だ、だっでぇぇぇぇぇ!』


放心状態だった私は伊之助のその言葉でハッとし、数回瞬きをした。

いちい、1位……??1位、だよね、私達が。そう認識した途端ぽろりと涙が、止めどなく溢れてくる。


えんえんと泣き始めた私に混乱しながらも頭を撫でる伊之助。いやイケメンかよぉ……!!


周りの目も気にせずぶぇぇぇと伊之助に抱き着き喜びを露わにする。

そんな私と伊之助の周りに炭治郎、宇髄先生が集まってきて最終的にはめちゃめちゃに頭を撫でられ続けるという意味の分からない時間が流れていた。


あっ因みに見事に打ち負かした先輩はまだこっち睨んでたからあっかんべーしてやった(小並感)

へっ、私がやられてるだけの女だと思うなよ…!!そんな思いと共に舌を出したが、伝わっただろうか。


そして今、私は自分の席に戻り泣いて腫れぼったくなった目を冷やしている最中だ。
あ "ー泣きすぎた……ほんと最悪、と絶賛後悔中の私に一つの影が落ちる。



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Alice - ( ,,`・ω・´)続きが早く見たいです!.更新頑張ってください (2023年2月9日 7時) (レス) id: 37c62558af (このIDを非表示/違反報告)
アオ猫又(プロフ) - 一気読みさせてもらいました!更新楽しみにしてます!! (2022年1月1日 21時) (レス) @page19 id: 6f2bf6bdd1 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - オモシロかったです!次の更新はいつでしょうか。 (2021年6月11日 6時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
リリア - すみません、誤字があったので言いますね。68話の最後の方の、「嗚呼、今日で何度目だろうか。」の「今日」が「鏡」になってました!間違ってたらすみません!! (2021年4月3日 23時) (レス) id: 6d42949a76 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - めっちゃおもしろいです!!!!!早く更新してくださいませ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2021年4月2日 10時) (レス) id: d7aea1f85d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐の中の棒人間 | 作成日時:2020年1月19日 22時

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