『匂いつけても、いいですか？』【歌/い/手】

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数十分後私は刺身を、そらるさんは焼き鳥など様々なものを頼んだ。
刺身の盛り合わせは、口の中がとろける程美味しく目を細めているとそらるさんはそっぽを向いてしまった。


……よくわからないなこの人。


因みにキヨはまふまふさんと楽しそうに話している。まふまふさん、お酒弱い様なんだけどなぜか頼んでぐびぐび飲んでる。


キヨはお茶を頼んでいたけど、酔っ払いみたいなノリだ。あ、いつもか。


ある程度満腹になりスマホをいじっていたら、あの、と声をかけられた。
顔を上げて見ると、そらるさんが何かを決心した様な顔をしているではないか。



「そ、その、ツイッターフォローしても…！ 良いですか！？」
『エッアッはい、どうぞ』
「あ、はは、やっぱりダメでっ…ェッ良い……？ ほ、本当にフォローして良いの？」
『構いませんよ』


良いですかって、敬語でこんな迫られた事なくてびっくりした。ってか、フォローなら全然してくださって構わないのに。

何で私に許可取る必要があるんだろうか。
疑問は残るけれど、嬉しそうなそらるさんを見てこの質問はやめとこう、と思った。


『じゃあフォロバしときますね、そらるさんの垢これですよね？』
「うん。それで合ってるよ、フォロバしてくれてありがとう」


いえいえ、とだけ返しといた。
そらるさんをフォローするとおすすめの欄に、えぇと、なんて読むんだこれ、英語苦手で読めない。


『これって何で読むんですか？』
「え？…あぁ、After the Rain。ユニット名だよ、俺と、まふまふで組んでるの」



あふたーざれいん。名前、すごいなカッコいい。ってかめっちゃ人気じゃんこの二人。今更だけど。
有名な人達と繋がるってなんかむず痒いなぁ。


歌い手界で有名になるって、凄く誇らしいものだと思うけど、私はのんびりゆっくりやりたいな。



「あの、ね、ねこさん。ライン交換しない？」
『あ、ラインですか……？ 全然、大丈夫ですけど、』
「ほんとに！？」


やった、と控えめに喜ぶそらるさんは何とも可愛らしい。じゃあさっそく、とふるふる降ってるとそらるさんのものだと思うけどアイコンが出てきた。


それを追加すると、よろしくと書かれたスタンプが送られてきて、私の頬が無意識に緩んだ。


『へへっ、私、友達キヨしかいなかったんで、なんか新鮮だなぁ』
「可愛すぎかねこさんｯｯｯ！！！」



口元をにやけさせる私にそらるさんがなんか呟いてたけどよく聞こえなかった。




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