『匂いつけても、いいですか？』【歌/い/手】

▽.あふたーざれいん？ ページ30

.



キヨと手を繋いで向かった先は、居酒屋だった。何でも、個室制で美味しいと有名らしい。
ふーん、と特に興味がないと言うふうに相槌をした。


「いらっしゃいませー！ 何名様でしょうか」
「４名で」
「４名様入りまーす！ 此方へどうぞ」


店に入ると、女の定員さんが出迎えてくれた。
キッチンにいる人にも伝えようとしてるのか、大きな声で叫ぶ。

案内された場所は、畳敷きの和室でシンプルなデザイン。こういうのつていいよね、私和室って結構好き。

奥に私が座り、その隣にキヨが。そしてその向かい側に奥からそらるさん、まふまふさんと並んだ。
あっ、隣キヨだった。良かった。


「ん〜何頼もうか」
「僕今日お腹ぺこぺこで…」
「朝から、ねこさんに会うからって緊張して何も食べれなかったって言ってたよな」


と、笑うそらるさんにまふまふさんは何で言うの！？と顔を真っ赤にさせていた。

うん、何とも可愛らしいのだと思うが、別にこのお二人のリスナーでも何でもない私はそれ以上、思うところが無い。倒れるわけでも無いし。



……あれ？朝からって。
そらるさんが言った一言が引っかかる。
確か、私が行ってもいいと了解を出したのは午後。それなのに、朝からという表現はおかしい。


問い詰めようか、とキヨの方向を向くと、態とらしく明後日の方向を向いていた。
…分かり易すぎないか？



『キヨ』
「ん、ん〜？？」
『キヨ、お前朝まふまふさん達にねこも行けるよって言ったでしょ』
「……ごめんなさい」
『素直かよ』


だってぇー！と大声で言い訳を叫びそうなキヨの口を抑える。ばか！個室だとしてもここお店！迷惑でしょ！！

もごもごとまだ抵抗を続けるキヨに、抑える力を強める私。攻防が続く中、新たな第三者が入った。



「ほ、本当にキヨとねこさん付き合ってないんですよね！？！」

ダンッ、と力強く机を叩いて私達の方に身を乗り出してきたのはまふまふさん。お、おぉう、元気だな。


「当たり前だろ〜付き合うわけないべ」
『…はい、付き合いませんよ、こんなひっ……キヨとは』


付き合うわけない、と言って豪快に笑うキヨに、イラっときて私も皮肉交じりの言葉で返した。
はぁ？と言うように見てきたキヨに、嘲笑うように笑い返す。


「でも、めちゃくちゃ仲いいじゃないですかぁ……」

まだこの人は私とキヨが付き合ってるって疑ってんのか。





.

▽→←▼

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す