透明少女 Ⅲ 【太宰治】 (ページ6)

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｢＿その事件は前ぶりもなく起こった。

古びた廃墟での事件だ。

その夜、目撃者は誰もおらず、唯、死体が数多くあった。

この事件はラティーヌが初めてじゃないらしい。ここよりも西の方に位置するマフィアは潰されたらしい。何でも、首領の首を取られたらしっくてね。
首領の次に、じわじわと上から順に殺されていった。｣

頭の中で言葉と言葉がグルグルと巻き込んだ。

『そんな悲惨な事件が…。ですが、ラティーヌは今も尚、継続しているのですよね？どう切り抜けたのですか？』

｢嗚呼、“内通者”、詰まり《裏切り者》を見つけたんだよ。事務員だった。
あらゆる拷問をした。出てきた言葉其れは、
『彼奴は頭がイカれている。あらゆる者を喰らい、其れを素材として又、犠牲をなす。
そして、奴らは私達を惑わせる』｣

『奴ら…？私達？』

｢《裏切り者》は翌日、事件と同じように頭の強打、頑丈な紐で首を吊られていた。そして、この日から殺人は収まった。

私はこのことから、二つ可能性を推測をした。

一つは複数人の犯行であること。《裏切り者》がいるもしくはこのラティーヌを調べられる程の凄腕の《情報屋》が相手側にいることだ。その可能性が無ければ主犯が複数人いるのだろう。

もう一つは、この謎の殺人が主犯の異能だということだ。どのような異能かは詳しくは解析し難いが、恐らく、人を殺せる程の強力な異能だと思うのだ。｣

『成程、ご協力ありがとうございます。』

｢嗚呼、所で、私からも頼みがある。｣

Aが立ち去ろうとした瞬間に声を裏返しながら焦って言った。

｢若し、中瀬君が見つかったの並ば私に報告しては呉まいか、生死は問わない。｣

余程の迷いがあったのだろうか。少し思考を巡らせてからAは答えた。

『……………分りました。…失礼します。』

Aはラティーヌから立ち去った。