透明少女 Ⅲ 【太宰治】 (ページ15)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:18,564 hit

50 ページ15

『…私は、我儘なんて、一度も…』

＿《本当に、そんなこと言うの？A。》

そこには、サキがいた。サキさんは私の腕を掴んだ。

『サキさん…！』

＿《Aのせいで、私は、しんじゃった。Aが我儘なせいで…。やっぱり、貴方に愛なんて教えるに値しないわ。》

『そんなッ…！違う…！！』

私がサキさんの腕を掴むとサキさんは赤く燃えた。

苦しまず、真っ直ぐ、私のことを睨みながら、灰になった。

＿《そうだ。お前が我儘を言ったせいだ。》

次は悟が目の前にいた。悟は涙を流した。

＿《お前が、あの時、サキを見捨てず、三人で協力して、帰れたら、俺だって今頃生きていた。》

『…それは…』

悟の言葉に息が詰まった。ダメだ。上手く呼吸が出来ない。苦しい。

＿《お前なんか、拾うんじゃ無かった。》

その言葉は一番言って欲しくない人の口から出た。

Aは上手く呼吸が出来ないまま、耳を塞いだ。

悟は黒い闇に消えた。

｢ほら。貴方が、我儘だからなんだ。これ以上光を見たら、次は周りの人間がいなくなる。｣

耳元でそれを語りかけたとき、背中に寒気がした。

敦君、

鏡花ちゃん、

国木田さん、

乱歩さん、

社長、

与謝野先生、

谷崎さん、

ナオミさん、

＿太宰さん。

『皆がいなくなるのは嫌だ。』

私を助けてくれた人。私を必要としてくれた人。私を見つけてくれた人。

『もう、私の前からいなくなるのは嫌だ。』

｢嗚呼、そうでしょうね？A。私と帰りましょうか。｣

ーーー
ニック･バードル
異能力【悪魔の囁き】
一つ目、恐怖、絶望、拒絶、悲しみなどの心の奥底の感情を引きずり出す。そして、感情を狂わせる。
また、その相手が一番嫌なこと、トラウマなどの幻想を見させる。
いわば、精神操作の異能力。
二つ目、詳細はまだ、不明。