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「話したいことがたくさんある。私だけ知ってるのは嫌だ。。」
「あぁ、話してくれ。時間を作ってちゃんと聞く、、だから泣くな。」
彼のぬくもりが今1番嬉しい。
言葉も、声も、匂いも、全部本物だ。
私たちは1度離れた。
顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
それでも彼は優しい眼差しで涙を拭ってくれた。
「それ、付けてくれてるんだな。。。」
「え。。」
彼は私の指にはめられている指輪を見ていた。
「すまない、俺はなくしてしまったみたいだ。。」
しゅんとする顔が可愛いと思ったのは、心の中に止めておこう。
それよりだ、私は彼の指輪を拾っている。
あの日彼を見つける前に拾ったんだ。
「なくしてませんよ。」
そう言ってポケットからハンカチを出した。
それを開いて見せると、彼は驚いた顔をしている。
「ここに運ばれてきた時まで、私ずっとこれ握りしめていたんです。だから、拾った時は全然気づかなかったんです。。」
指輪をハンカチに乗せたままサイドテーブルに置いた。
「狡いですよ。。。」
「気づいたのか。」
「気づくよ。。。。」
彼の手がそっと頬を撫でた。
顔を上げると、優しい眼差しで嬉しそうにこちらを見ていた。
私は再び引き寄せられた。
彼はわたしの額にキスを落としてもう一度腕の中におさめた。
そんな仕草や行動に私は恥ずかしさでいっぱいだった。
きっと今顔上げたら耳まで赤いんだろうな。
「耳まで赤いな」
「言わないでっ」
こう言う、分かってて言ってるところは意地悪だよな。。
絶対さらに恥ずかしなるのわかってるんだもん。
だから、ちょっと仕返ししてみようと思います。
「寝顔可愛かったですよ安室さん。」
「。。。喧嘩売ってるのか。」
「今、喧嘩したら確実に安室さん負けますよ。」
「随分な言われようだな。」
「ふふ。」
「ふっ」
なんだかお互いにおかしくって笑ってしまった。
ゆっくり流れる時間がこれでもかと言うくらいに幸せだ。
結局元の世界に戻ることは出来ないが、私にとっての世界はもうここだ。
大切な友達もたくさんできた。
今までは感じなかったぬくもりも、欲しくても貰えなかった言葉もここにある。
言葉にしたくてもうまい言葉なんて見つからなかった。
簡単な言葉じゃ言い表せない。
とても心地の良い昼下がり
通り抜ける風は暖かく
私はこの日を忘れないだろう
.
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やっち(プロフ) - こんにちは。いいお話です。続きが読みたいです (2022年7月2日 5時) (レス) @page29 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
礼 - とても優しい物語ですね。続きを楽しみにしています。 (2021年12月13日 1時) (レス) @page29 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 素敵なお話ですね。是非とも続きがみたいです。もう更新はなさらないのですか?それなら残念です…とても面白かったです! (2021年6月19日 1時) (レス) id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
霞葉ノ雫 - このお話がとても、とても。大好きです。胸が一杯になって、溢れて止まらない。続き、待ってます。 (2020年6月26日 6時) (レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白かったです。感動しました。続き楽しみにしてます(^_^) (2019年5月30日 2時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆん | 作成日時:2018年5月23日 21時