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小学校の授業参観も運動会も、仕事が忙しいと言って両親が来ることはなかった。

周りから見た私は可哀想な子。

先生はいつも優しかったし、良くしてくれた。

でもそれは自分の評価を上げるため。

いざと言う時、先生なんて少しも助けてはくれなかった。

小3にもなると、私は大人を信用していなかった。

むしろ小3で既に社交辞令という名のいい子を演じていた気がする。

小学生と言うのは敏感で、自分と少しでも違う子がいたらその子を除け者扱い。

それを見て私は馬鹿馬鹿しいと他人事のように思っていた。

もちろん自分には危害が来ないようにいい子を演じ、どちらかと言うとクラスの人気者。

内面では周りを見下し、表ではいい子を演じる。

それが当たり前だった。

高学年にもなると周りを見下すことはなくなったが、内面の性格は歪んでいたと思う。

それは中学に上がっても変わらなかった。

また、両親との関係も変わりはなかった。

帰ってきても着替えを持ってすぐに仕事に行く。

会話をすることもなければ顔を見ることもなかった。

だから私の中の記憶に両親の顔は思い出せなくて、写真すらもなかった。

別に不自由をするわけでもなかった。

だから気にしていなかった。

そして、中学に上がって少ししてから、両親が事故で亡.くなった。

2人で一緒に行動することもあったらしく、その日も2人で仕事場に向かっていたらしい。

その途中で大型トラックと接触事故を起こし、帰らぬ人となった。

私は学校が終わった頃に病院から電話があり、とりあえずこいと言われ、病院に向かった。

病院につくとすぐに霊安室に通された。

横たわる2人。

顔の布を取られ、確認をお願いされたが、正直、この時の私にとって、もはや知らない人だった。

頷くことも顔色を変えることもせずに私は霊安室を出た。

涙は出なかった。

2人のお葬式には遺族だと言う人達がたくさん来た。

見たこともない人達から投げかけられる言葉。

しかし、周りからの目はだんだん変わっていく。

投げかけられる言葉も次第と「可哀想に」から、「親の心子知らずね」「泣きもしないなんて」「ご両親が見たら何ていうか」に変わっていった。

私は遺影の前に来ても涙なんてでなかった。

よくかんがえたら、この時初めて親の顔をちゃんと見た気がする。

遺影の前から去ると、遺族たちが近寄ってくる。

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やっち(プロフ) - こんにちは。いいお話です。続きが読みたいです (2022年7月2日 5時) (レス) @page29 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
- とても優しい物語ですね。続きを楽しみにしています。 (2021年12月13日 1時) (レス) @page29 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 素敵なお話ですね。是非とも続きがみたいです。もう更新はなさらないのですか?それなら残念です…とても面白かったです! (2021年6月19日 1時) (レス) id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
霞葉ノ雫 - このお話がとても、とても。大好きです。胸が一杯になって、溢れて止まらない。続き、待ってます。 (2020年6月26日 6時) (レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白かったです。感動しました。続き楽しみにしてます(^_^) (2019年5月30日 2時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こゆん | 作成日時:2018年5月23日 21時

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