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どれくらい時間が経ったのだろか。
もはやそれすら分からなくなるほどの時間がたったと思えるほど長い時間だった。
私はずっとリングを握りしめてきた。
流れた涙はいつの間にか枯れていた。
あれだけの血をとったんだ。
貧血なのは当たり前。
それに加えて泣いたせいで頭がいたい。
もう少しで心が崩れていきそうだった時。
手術室のランプが消えた。
そして、先生と一緒に安室さんが手術室から出てきた。
私は慌てて立ち上がるが足がふらついた。
それをコナンくんが支えてくれた。
「あのっ。。」
「もう大丈夫。一命は取り留めたよ。。何の心配もいりませんよ。」
そう優しく微笑んでくれた。
その言葉がどれだけ心に安堵をくれたか。
枯れたはずの涙が再び溢れ出した。
「っ。。ありがとうございますっ。。。ありがとうございます。。っ。。」
「君も少し休みなさい。点滴を用意してるから。。。君には感謝しないといけない。おかげで患者の命を救うことが出来た。」
そう言って先生は頭を下げた。
「いえっ。。彼を助けてくれて、本当にありがとうございましたっ。。」
そう言うと、先生は去っていった。
私とコナンくんは一緒に安室さんと病室に入った。
窓際のベッドに安室さんは寝ている。
私はソファーの方で看護師さんに点滴を打ってもらった。
コナンくんもソファーで一緒に座っている。
「良かったね時音お姉さん。」
「うん、ありがとうコナンくん。」
「お礼を言うのはこっちの方だよ。。。安室さんのこと見つけてくれてありがとう。時音お姉さんがいなかったら安室さん。。」
「やっぱりコナンくんは頼もしいね。コナンくんは本当は小学生じゃないんだよね。。。」
コナンくんにそう言うと複雑そうな顔をしていた。
「ありがとう、工藤新一くん。」
そう言うと驚いた顔をした。
私が知ってたよと言う顔をすると、ちょっと不機嫌になった。
「知ってたんなら、抱きついてくんなよな。。」
「反応が面白かったからつい。」
「あのなぁっ。。」
「ふふ」
少し心に余裕ができた気がする。
よく考えたら、これでコナンくんは元の身体に戻れるんだよね。
コナンくんにはもう会えないけど、蘭ちゃんはやっと新一くんが帰ってくるから喜ぶのかな。
「あのね。私、赤井さんにアメリカ来ないかって聞かれたの。」
「え。」
「でも、断ったんだ。私はここが好きだから。」
それは本音だ。
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やっち(プロフ) - こんにちは。いいお話です。続きが読みたいです (2022年7月2日 5時) (レス) @page29 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
礼 - とても優しい物語ですね。続きを楽しみにしています。 (2021年12月13日 1時) (レス) @page29 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 素敵なお話ですね。是非とも続きがみたいです。もう更新はなさらないのですか?それなら残念です…とても面白かったです! (2021年6月19日 1時) (レス) id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
霞葉ノ雫 - このお話がとても、とても。大好きです。胸が一杯になって、溢れて止まらない。続き、待ってます。 (2020年6月26日 6時) (レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白かったです。感動しました。続き楽しみにしてます(^_^) (2019年5月30日 2時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆん | 作成日時:2018年5月23日 21時