ゴールドさん。 ページ10
「えっ？」
俺、ボールペンなんか持ってないしな･･･
そう思いながら、ポケットに手を突っ込むと身に覚えのないボールペンが出てきた。
「なにこれ･･･」
「これは、東さんを殺 害された時に使われたと見られる凶器です。
犯人が、すれ違いざまにでも入れたのでしょう･･･」
「櫻井さん。口を挟むようで悪いんだけど、水野さんは長ランだからすれ違いざまにズボンのポケットに凶器を入れるなんて難しいんじゃないかしら？
それなのにバレないように入れるなんて不可能よ。」
安西さんが、櫻井さんに問いかける。
「･･･この世に不可能なんて存在しない。
では、水野さんが犯人とでもおっしゃられたいのですか？」
「ふっ。そうね。私の容疑が晴れるならそれでもいいかしら？」
「っ！てめぇ！「待て豊！」んっ･･･だって！」
立ち上がって安西さんに近付こうとするも、それは俊くんによって止められる。
止められた豊は、腑に落ちない顔で席についた。
「小林さん、落ち着いて下さい。それに私、言ったでしょう？覚えてますか？」
「･･･覚えてる。」
櫻井さんが言ったことは分からんけど、興奮状態の豊を黙らせるくらいやから、豊の心に響くようなことを言ったんやろう。
「それでは水野さんに容疑をかけ、自分は楽になりたい安西さん。これならどうでしょう。
水野さん、私に向かって歩いて来ていただけますか？」
･･･最初の2行辺り、でら怖かったんやけど。
まぁ、それは置いておいて俺は櫻井さんの言った通りに立って櫻井さんの方に歩き出した。
すると、すれ違う瞬間に、櫻井さんは俺に盛大にぶつかった。
「･･･それでは水野さん。ポケットの中を見ていただけますか？」
言われたから、すれ違いざまにぶつかった左側のポケットに手を突っ込むと櫻井さんのものと思われるボールペンが出てきた。
「そう。こうやって盛大にぶつかることによって、特に何の違和感もなく水野さんに罪を擦り付けることが出来るのです。
･･･ですよね？この事件の犯人であり、先ほど水野さんにぶつかった東さんのマネージャーさん。」
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