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「じゃあ、行くか」
「はい」
二人で手を繋いで、屯所を出た。
すると、
「…誰だ」
と十四郎さんが警戒したように、私を庇った。
しかし、何も起こらなかった。
「どうかしました？」
「…いや、何でもない」
その横顔に何やら緊迫した色を感じた。
…なんだったのだろう。
その後、
「危ない！」
「うわっ！」
突然鉄筋が落ちてきたり、水が降ってきたり、車にぶつかりそうになったりと様々な出来事が起きた。
そのたびに十四郎さんが守ってくれたのだが、偶然にしては出来過ぎている。
まさか…。
「親父さん…なわけないか」
今まさに思っていたことを十四郎さんに言われた。
…父が仕向けるなんて有り得ないと思いつつも、今こんな状況なら思わざるを得ない。
「俺達は試されてるかもな。…まあ、こちらにしては好都合だ」
「え？」
「俺達の思いが本当だってこと、伝えられる最後の手段だ」
「そう、ですね」
後、もう少し。
＊
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作者名：土方美零 | 作成日時：2018年10月5日 21時
