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「……また来たのですか」
「暇、なんでな」
少しでも一緒にいたい、なんて言えたなら。
あいつの隣で笑うAが、自分の隣で笑っているならどんなに幸せか。
「にしても、お前らは物好きだな。こんな雨の日に出掛けるなんざ」
何度も発した言葉を繰り返す。
「私は、いつか、約束に縛られない日がくるのを待っているのかもしれません」
そう言うAの哀しみを帯びた声に、胸が詰まる。
「……来ると良いな」
「……ええ」
口ではそう出るが、本心は告げられないまま。
…なあ、A。
お前が望むその日を、俺は少しでも長く来ないでほしいなんて
思ってる俺を知ったら、軽蔑するか?
「んじゃ、そろそろ帰るわ」
「あ、はい。また」
「……雨、止まねーな」
止みそうにない空を見上げて、俺は呟いた。
頬を伝ったのはきっと
雨だろう。
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作者名:土方美零 | 作成日時:2018年10月5日 21時