きみのわがまま ページ8
.
「…っん〜〜〜…！」
「なあに？」
「……なんでもない
なんでもないけどぉっ…！」
「…？」
「なんでもある……ぅう…」
「えぇ？」
リビングのソファに小さく丸まって座り、
唸っている、と言うには少し可愛すぎる声で
唸っている二歳年上の恋人。
どうしたの？と聞いても、
また同じように唸るだけで
理由は教えてくれないから
俺はそんな恋人を見守るしかできなくて、
今はただ隣に座って本を読んでいる。
「……う〜」
うーん、
…何か嫌なことがあったんじゃなければ
まあ、とりあえずはいいんだけど。
「どうしたの？」
「……ちょっと、散歩してくる」
「俺もい…」
「ううん、藤ヶ谷は家で好きなことしてて」
突然立ち上がって、部屋を出ていったと思ったら
上着を羽織ったり、マフラーをしたり、
防寒対策を始めた北山は散歩に行くと言うから
ついて行くと言えば
少し眉を下げて止められた。
一回外の空気吸って、
冷静に…頭冷やして帰ってくるから。
と、続けて言われてしまえば
もう俺に言うことはない。
「気を付けて。体は冷やさないようにね」
と手を振った。
.
.
北山が家を出てからもうすぐで１時間半になる。
こんな寒い時期に１時間半も外に…
ただでさえ、寒いの苦手なのに。
一人は好きじゃないくせに、
一人になりたいだなんて。
「っあー、心配させんなよ…」
なんてブツブツ呟きながら
本を読んでいるけど、
ろくに頭に入ってきやしない。
もう無駄だ、後にしよう。
そう、本にしおりを挟んだ時
ドアを開ける音が聞こえた。
小走りで玄関に向かうと、
マフラーを目の下ギリギリまで上げて
カタカタと震えている北山の姿が。
「もう…こんなに冷えてる…ほらっ早く中入って」
「ふじがや、何か言い忘れてる」
「えっと…おかえり？」
「ただいま。はい、ぎゅってして」
こんな時に、氷と同じくらいに
冷たくなった手を軽く広げて
ハグを催促するマイペースな恋人。
「はやく」
「はい。ねぇ、どうし…」
「ふじがや。今からわがまま言うからダメだったらほっぺつねって」
何かあったんだろうか、と
本気で心配する俺とは反対に
へへっと笑ってる恋人は
今にも消えてしまいそうだ
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茉莉花(プロフ) - mさん» もう少し可愛くできたら良かったな．と思っていたので嬉しいです。泣 ありがとうございます！ (2018年3月14日 23時) (
レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 北山さんの可愛いさが溢れすぎてこっちもどうしたらいいか分からなくなりました(T ^ T) (2018年3月7日 21時) (レス) id: 2ca24312b2 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉花(プロフ) - mさん» こんにちは、嬉しいお言葉ありがとうございます…！今年も頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (2018年1月7日 12時) (レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 茉莉花さんの短編集、大好きです！新年も素晴らしい作品をありがとうございます！ (2018年1月7日 0時) (レス) id: c77716ecbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2018年1月7日 0時
