仕事前のお話 ページ11
『いってらっしゃい。ハーデス』
ハデス「ええ」
ジャク「A!僕にも!」
ダル「あっ。じゃあ、僕も!」
『フフ。いってらっしゃい。ジャック、ダルメシア』
「「いってきまーす!」」
リクルーティングに向かう者たちを笑顔で見送る。それからすぐに談話室の扉が開く。
スカー「今日は古本も休みなの〜?」
ホック「よければ一緒に出かけないか?スカーとパークの中を散歩しようと思うんだが」
眉を顰めたスカーの後ろからは、ホックも顔を覗かせる。
『今日は仕事があるんだ。ごめんね』
ふたりの誘いを断り、自室に戻って仕事の身支度を済ませる。がらんとした廊下にAのヒールの音だけが響く。
サム「お。A嬢はお出かけか?イタズラなら手伝うぜ」
廊下を歩いていると、幽体で現れたサム。視界を塞ぐように前に現れたので正直鬱陶しい。
『今日は仕事なの』
サム「しごと?A嬢が?珍しいねぇ」
ニヤニヤとした笑みを浮かべ、ご丁寧にAの歩みに合わせてついてくる。
『そりゃあ、僕はマスターの手下なんだから当たり前でしょ?』
サム「てっきりシュラーの仕事は楽なんだと思ってたぜ」
サムの発言に眉がピクリと動く。
『シュラー“様”』
サム「?」
『シュラー“さ・ま”!』
サム「ケヘヘ。シュラーサマな」
自身の尊敬するマスターを呼び捨てで呼ばれることに苛立ちが隠せない。
『僕のマスターだけじゃなく、皆のマスターにも敬意を示した方がいいよ。僕たちはマスターが全てなんだから。貴方と違って』
サム「フハッ、そうだな」
飄々と漂うサムに睨みを効かすが全くもって効果がなさそうだ。
ポルターガイストである彼にとってマスターは、自分たちの家を仕切るだけの家主。尊敬などない。
『少しはマスターを尊敬すればいいのに』
サム「してるぜ?一部の奴らが」
『貴方がするの』
話しながら歩いていると移動用鏡が見えてくる。サムからの解放に仕事前に関わらず気持ちが軽くなる。
『じゃあね』
サム「ああ。気を付けろよ」
鏡も前に立つと慎重に鏡を潜るA。サムはそれを腕を組みながら笑顔で見送った。
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作者名:いす | 作成日時:2021年3月3日 4時