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拾伍 ページ17

『あら?この薬草、もうないや』

久しぶりに薬を調合していましたが、薬草が無くなってしまいました……

(仕方がありません。山へ採りに行きましょうか)


『ふぅー、これだけあれば大丈夫ですかね?もうすぐ日が落ちてしまいます。早く帰らねばいけませんね。』

早く帰らなければ鬼に会ってしまうかも知れません。
私には鬼に対抗する力がありませんし。

「女だ!喰わせろ!」

『嘘でしょ……』

なんなんでしょうか!?私、呪われてたりしますか!?

『逃げなきゃっ!……きゃっ!』

足をきられてしまいました……痛くて足が動かない、情けない。
嗚呼、脳裏にあの光景が思い浮かぶ。
ごめんなさい。お父さん、お母さん、村の皆さん。私を守るために皆頑張って下さったのに、私はもう無理かもです……

悲「南無阿弥陀仏……」

『……悲鳴嶼さん……』

悲「まだ日が落ちきって無いとはいえ、山の中では鬼は動く……気をつけなさい。」

『すみません……』

悲「足を怪我している……私の屋敷が近いから暫くそこで休憩するといい……時透には迎えに来るよう連絡をした……」

『ありがとうございます……』


パチパチと囲炉裏の火が音を立てる。
今の私にはその音が嘲笑っているように思う

悲「時透は神酒に会ってから神酒の前だけだが笑うようになった……神酒のお陰だ……」

『……そんな事ないです……私は無一郎に酷いことをしたんです……』

悲「……」

『私は無一郎が、いいえ、無一郎達が大変な時に傍に居れ無かった。その日の夜は嫌な予感がしたんです。無一郎達が鬼に襲われて、有一郎がまだ生きている時に私がもし居たら、助けれたかもしれない。
なのに私は家の手伝いで暫く無一郎達の所に訪れず、父の仕事の都合で引越しする事を伝えようと無一郎達の家に行った時、誰もいなかったのでおかしいと思ったのに、私は置き手紙だけをしてそのまま引越したんです。』

『私は無一郎が苦しい時に傍に居られず悔しかった。挙句約3年も放置した。』

『こんな私は、無一郎のなんの役にも立ってないんです……』

悲「神酒が時透の役に立っていないと思っていても、時透は神酒が居てくれて良かったと思っているはずだ。実際、時透は神酒の事を大切に思っている。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次行きます。

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レイ - 面白いです!大正とキメ学が両方あるの良いですね!更新楽しみにしてます!! (2019年11月28日 18時) (レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霊来 | 作成日時:2019年10月20日 17時

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