拾漆 ページ18
「おめでとう紅ちゃん！」
「姫ちゃん別嬪さんやねぇ！」
浅草中が、祝福の言葉で満たされる
ああ、泣くな。惨めだろ
勝手に浅草の破壊王に恋をして、叶わないと分かっていても諦めず思い続けたんだ
たった1度、焔人から助けてもらっただけで、話した言葉なんか一言二言
覚えてすらないだろう
浅草の姫の事も嫌いになれなかった
怪我をしていた私に手当をしてくれた
私なんかよりずっと綺麗で、可愛くて
あの二人が結ばれるのは決まっていたのだ
幼い頃からずっと一緒にいて、お互いを一番に、大事に思っていて
二人とも互いの事しか目に入っていなくて
私の付け入る隙なんてなくて
「うっ、、ひっぐ…」
ぽろぽろと流れてくる涙を止めることは出来ず、皆みたいに素直に祝福の言葉を送ることも出来なくて
目の前に居る二人を直視することが出来なくて
「っ、あ……」
白無垢を着た姫は天女のようで、破壊王はいつもよりも輝いて見えて
私が隣に居たとして、あの人はあんな優しい顔をしたのだろうか？
姫のように堂々と隣に立てただろうか
「おめでとうございます…！」
目の前に来た二人に無理矢理笑顔を作って言葉を投げかける
『ありがとう』
微笑み返してくれる姫を見て、心の靄が取れていく
破壊王だけを見ていると、私は惨めに思えてくる
けれど、あの二人を見ていると、浅草の代表と言える夫婦を見ていると、こちらも幸せになる気がする
「本当におめでとうございます」
次は心から出た祝福の言葉
浅草の破壊王に恋をした者は多い
浅草の姫に恋をした者も多い
けれど、その人たちは皆二人の幸せを願い、身を引いた
(嗚呼、後悔は……しないって決めたのに)
上を向いて、涙が垂れないように
今、この場で泣いていいのは悔し涙ではない
嬉し涙だ
「君も恋をしていたのかい？」
「あなたも恋をしていたでしょう」
幼馴染の言う皮肉が痛い
「俺はとっくに諦めたさ」
「嘘だ。ずっと目でおってた」
「あんな美人居たら追いたくなるだろ」
横に並び、顔を見ることなく、目線は常に新郎新婦を見る
「なぁ、俺たちも結婚するか？」
「今この時に言うのは狡くない？」
傷ついた心に彼の甘い言葉が注がれる
でも、甘えてしまおう
「仕方ないね」
幸せにしてあげなかったら浅草中、皆あなたを殴りに行きますからね。
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こういうサイドストーリー的なの好きなんですごめんなさい
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雪野(プロフ) - いえいえ、よかったです(^-^) (2020年11月29日 15時) (
レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
霊来(プロフ) - 雪野さん» ごめんなさい公開するの完璧忘れてました……今公開しました。すみません… (2020年11月29日 13時) (レス) id: a7f52eeadc (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - ページ項目の10の次が12なんですが、11はどこにいったんでしょう...? (2020年11月29日 8時) (レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 霊来さん初めまして、続きが楽しみにしてます。応援してます。 (2020年11月3日 12時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霊来 | 作成日時：2020年10月24日 1時
