拾伍 ページ16
ふわりと遅咲きの桜が舞い落ちる
一筋、一筋と涙が堪えられず落ちていく
『はい……勿論です』
そっと紅は親指で涙を拭い、口付けをする
一瞬だけ優しくした後、私を抱きしめる
紅の体温が、匂いが、いつもより速い心臓の鼓動が全て感じられて
背中に手を回すと紅は更に強く抱きしめる
『来週って、間に合うの？』
「紺炉と前から準備してたからな」
『相談してよ』
「どうせどれでも良いとか言うんだろ」
『ふふ、確かに』
紅が選んでくれたのなら、それでいいと思えるほど、溺れている
気づけば涙は止まる
『ひゃっ、紅？』
急に私を横抱きにした紅に驚く
「まだ寒ぃんだ、早く戻んぞ」
そのまま纏に乗り戻ろうとする
『っ、待って』
「大丈夫だ、落としはしねぇ。怖ぇなら捕まっとけ」
少し怖くて首に腕を回す
「…先代から、何故かは知らねぇが桜が18の時が良いって言われたんだ」
『先代…火鉢さんが？』
「よく分からねぇがな」
着いたのか紅が降りる
辺りを見れば沢山の人が集まっていた
「若、そろそろお嬢を降ろせばどうだ？」
「そうだな」
紅が横抱きしていた状態から降りる
「お嬢！おめでとう！来週は祭りだな！」
「桜ちゃん、あんたの白無垢は私が作らさして貰ったわ。世界一の別嬪さんに似合うように頑張ったで」
「紅ちゃんの紋付袴も儂が作らせてもろたわ」
明子さんとその旦那さんが私たちの服を作って下さったらしい
『有難うございます』
ここにいる人たちが祝ってくれてる、その嬉しさでまた涙が溢れそうになる
「紅ちゃんが嫌になったらいつでも相談してよ？」
「おい」
『ふふ、ありがとうございます。けど相談することないと思いますよ？』
「お、お熱いね〜。やっぱり安心そうだね。紅ちゃんが貴女を離すわけないし。飲み直すか」
皆がお酒を飲むために戻っていくとその場には私と紅だけになる
『来週楽しみだね？』
「まあな」
俺も飲むかと言い混ざって行った紅の後ろ姿を見送り、私は部屋に戻る
部屋に戻り簪を引き抜くと紅を基調とした簪であった
『…』
簪を優しく握り胸の前で祈るようにする
私は、紅を愛して良かった。一生を捧げようと、たとえ紅か私では無い人を愛していても良いと思っていたけれど、やはり嫌だ
『紅が愛しているのはずっと私が良いな』
紅も私も、もう抜けられない程溺れている
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雪野(プロフ) - いえいえ、よかったです(^-^) (2020年11月29日 15時) (
レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
霊来(プロフ) - 雪野さん» ごめんなさい公開するの完璧忘れてました……今公開しました。すみません… (2020年11月29日 13時) (レス) id: a7f52eeadc (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - ページ項目の10の次が12なんですが、11はどこにいったんでしょう...? (2020年11月29日 8時) (レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 霊来さん初めまして、続きが楽しみにしてます。応援してます。 (2020年11月3日 12時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霊来 | 作成日時：2020年10月24日 1時
