拾 ページ11
季節は過ぎ、冬になった
『はぁ……寒』
両手を擦り、息をかけて温めようとするけれど、冷え性の為手は温まらない
『うぅ、朝餉作らなきゃ』
寒い廊下を羽織にくるまりながら歩き、炊事場に着く
『味噌汁と、魚焼いて…』
「……」
味噌汁の為の出汁を作っていると足音が聞こえる
『紅。おはよう』
後ろから抱き締められるが、声がとても眠そうだった
『紅暖かいね。炊事場は寒いから丁度良いかも』
「おう…」
ほぼ寝かけの紅だがここで寝られては紅を運べない
『紅、寝るならちゃんと部屋に戻って？朝餉できるまでまだかかるから。出来たら起こすよ？』
「いや、いい」
目が覚めてきたのか段々返事がハッキリしてきた
「若、そろそろ退いてやった方が良いと思いやすぜ…」
『紺炉、おはよう』
「やりにくいか？」
『少しだけ…でも今日は寒いから…』
居なくなって欲しくないとは口にする事ができず篭る
「…なら若、朝餉作るの手伝ってやってくだせぇ。俺はヒカとヒナを起こしてくるんで」
「ああ、分かった」
紺炉が起こしに行くと後ろから横に移動した紅は包丁を持ち、何すりゃいいんだ？と言いたげな顔で見つめてくる
『えっと…じゃあそこの野菜たち切っといてくれない？私は魚焼くから』
「…葱は切らなくていいか？」
『駄目です。切ってください』
「…わぁったよ」
『ふふ、大丈夫。紅のには入れないから』
いつも紅のには葱入れてないのに
不慣れな手つきで野菜を切る紅を見ていると紅と目が合う
「んなじろじろ見てんじゃねぇ…」
『ごめんね？紅真剣だったから』
魚を焼き終わり、紅が切った野菜を入れていく
『……うん。出来たね』
味見をし完成を告げると紅は大きなため息をつく
「俺に料理は向いてねぇ」
『ふふ、そっか。でも頑張ってたじゃん』
出来た料理を盛り付け、紅に渡す
「「若〜！姫〜！」」
「今日の飯は若も一緒に作ったんだってな！」
「不味かったら承知しねぇぞ！」
「文句言うなら食うんじゃねぇ。桜が作ったんだからうめぇに決まってんだろ」
『っ！…は、はやく食べよう』
紅の言葉に照れて皆を急かす
『…紅、ありがとうね』
「あ？」
今日の朝餉はいつもより美味しく感じた
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雪野(プロフ) - いえいえ、よかったです(^-^) (2020年11月29日 15時) (
レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
霊来(プロフ) - 雪野さん» ごめんなさい公開するの完璧忘れてました……今公開しました。すみません… (2020年11月29日 13時) (レス) id: a7f52eeadc (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - ページ項目の10の次が12なんですが、11はどこにいったんでしょう...? (2020年11月29日 8時) (レス) id: 80d98c577b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 霊来さん初めまして、続きが楽しみにしてます。応援してます。 (2020年11月3日 12時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霊来 | 作成日時：2020年10月24日 1時
