ごめんね、先生。//僕のヒーローアカデミア (ページ8)

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「……馬っっ鹿じゃねーの」

不機嫌そうな、ドスの効いた声。
僕にとって聞き覚えがありすぎる声だ。

意外にも話を聞いてたらしいかっちゃんは、
いつもより余計に眉間にシワを寄せて、
不機嫌を煮詰めたような声でそう言った。

「え？どういうことなん、爆豪くん？」

「簡単に他の学校に転入できるわけねぇだろ。
　天下の雄英でヒーロー失格だって判子押されて除籍されてんだよ。
　……そんな奴、頭の固ェ上のモンが欲しがると思うか？」

「ああ……確かにそうね。
　除籍理由がどうであれ雄英で除籍処分を下された生徒……
　どこかに難があるんじゃないか。
　そう考える人も少なくない気がするわ」

意外とよく考えてるのね、と続ける蛙吹さん。
ケッ、と目を背けて不機嫌そうなかっちゃん。

麗日さんはおろおろと、困ったように口を開いた。

「それじゃあ、元先輩たちって何してるんやろ？」

「そんなん俺が知るか！
　気になんなら直接聞いてこい！！」

「聞いたところで教えてくれるかしら？
　プライベートなことだし、
　先生たちも教えてくれないと思うわ」

「えぇ～！でも気になるよ！
　私たちもそうなる可能性あるんだし…
　特に爆豪くんとか言動がアレやし……」

「ンなもん余計な心配じゃクソカス！！」

かっちゃんが白目を剥いてキレたところで、
この話は終わった。

蛙吹さんが言うように、確かにプライベートな問題だ。
かっちゃんが言うように、確かに余計な心配だ。

……けど、漠然とした不安は消えないわけで。

そのやりとりはただ心に、
じんわりと、薄暗い沁みを残していった。

「あら。どうかしたの、緑谷ちゃん」

「な、何でもないよ、蛙吹さん！」

「梅雨ちゃんと呼んで」

ケロケロと答える蛙吹さん……
いや、梅雨ちゃんの言葉。

いつもどうりのその言葉が、
何故だか、とても優しかった。

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