１話 ページ2
「 月島はどうしてそんなに影山を嫌ってるんだ？ 」
始まりは日向のこの質問だった。明らかな影山への態度に疑問を持った日向が思い切って聞いたのだ。部員全員が集まる、部室の中で、着替えてる最中に。もちろんその中には影山本人だっている。
「 は？何急に、 」
「 お前らが話してる時一切目合わせねぇじゃん？影山は目合わせようとしてるけど、月島は一切影山の目見ないじゃん？ 」
「 だからなに？ 」
二人の会話に、みんな着替えることを忘れて聞き入る。影山に至っては上半身裸な状態でTシャツを持ったまま話を聞き入っていた。
「 どうして月島は影山と目を合わせねぇの？ 」
「 そんなもん、嫌いだからに決まってるデショ、 」
その言葉は、影山の心に酷く突き刺さった。もともと素直な影山は、俯き、少し泣きそうになっていた。
「 なんで嫌いなの？ 」
「 なんでって、北一バレー部出身だから、 」
そんな素っ頓狂な理由に、その場にいた山口以外がはぁ？と声を漏らす。
「 月島、本当に、理由はそれなのか？ 」
今まで黙って聞いていた澤村でさえ、口を挟むような理由。
「 それ以外にありません。僕は北一"バレー部"の出身の奴らが嫌いなだけです。バレー部じゃないなら別にどうでもいい存在です。 」
冷めた声で、淡々と答え、着々と着替えを進める月島に、
「 何でだ？ 」
着替えが終わり、さっさと帰ろうとする月島に、黙って聞いていた影山が質問を投げかける。その声は少し震えており、しゅん、とした顔で月島を見ていた。
「 ……そんなの、自分で考えろよ、 」
月島が放ったその声は、いつもより低く、怒っているようにも感じられた。やっぱり月島は影山と目を合わせなかった。
「 お先に失礼します、」
そう言った月島の声は、いつも通りだったけど、どこか悲しそうな声だった。
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作者名：LINQ - リンク - | 作成日時：2017年10月26日 22時
