1話 ページ2
−鈴side−
『ただいまー』
客｢あ、やっほー鈴くん。今日はどこ行くの？｣
『オネーサンいらっしゃい！今日は本屋のおじさんとこ』
父｢6時までには帰って来いよ。何食いたい？｣
『とーちゃんの飯ならなんでもいーよ。んじゃ行ってきまーす』
客｢鈴くんまたね〜｣
父｢気ぃ付けてな｣
学校が終わって家に帰って鞄を置いたらすぐに出かける。
だから制服のまんま。本屋の時は着替えなくていいから楽だ。
愛機のサンパチに乗って本屋までの道を辿る。無免許だけどこの辺じゃ当たり前だから気にしない。
そういえばオネーサンいつもと服の系統違ったな。カジュアル系じゃなくてフォーマル系。
これから彼氏さんとデートなんだろーな。オーダーも飲みもんだけっぽかったし。
恋人か、、、とーちゃんはもう作らないんだろーな。もう年だしな。(父は満46歳)
まぁ、前々からモテなかったらしーけど。
告白してフラれたの10回以上らしいし。自慢気に話されたけど誇るようなモンじゃねーよな。
顔はイケメンだと思うんだけど何がダメなんだろ。年齢が対象外なんかな。
今更義理母とか要らねぇけど。まぁ、とーちゃんの恋愛事にオレの意見は関係ねぇか。
『おじさーんバイトしに来たぜ〜』
本おじ｢おぉ、毎度悪いねぇ。今日も早退したのかい？｣
『うん。学校なげーから終礼まで居たらバイトの時間短くなっちまうだろ？』
本おじ｢そうだけどなぁ、、学生の本分は勉強だって言うだろう。手伝ってくれるのは本当にありがたいんだけどなぁ｣
『おじさんは気にしなくていーんだよ。オレがやりたくてやってんだしお小遣いくれんじゃん』
本おじ｢鈴がそう言うんならもうこの話はしないでおくよ。今日も棚の掃除と本の整理宜しく頼むねぇ｣
『おー、任せとけ！』
とーちゃんが営む喫茶店からバイクで5分の所にある年季のある本屋。
この本屋はおじさん一人で営業してる。奥さんは一昨年に亡くなった。
前まで二人で仲良く喫茶店まで通ってくれてた常連さんだ。
奥さんが亡くなってからおじさんも足腰が弱くなって来れなくなった。
小学生の頃に漢字や算数のドリルを何冊も貰ったからそのお礼として掃除や本棚の整理、レジ当番を昔から手伝うようになった。
それが何年も続いてるだけ。今更面倒いなんて思わない。
それに身長的にオレがやった方が効率が良い。
気になる本も読めるしお小遣いもくれるからむしろ得してる。
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年8月6日 10時
